医学部合格を目指す受験生にとって、志望校選びは最初の重要なステップです。
適切な大学を選ぶことで、学習計画やモチベーションが大きく変わります。
本コラムでは、志望校選びのポイントを詳しく解説し、受験生の夢を叶えるための最適な決め方をサポートします。
志望校選びの成功が、医学部合格への道を開く鍵となるでしょう。
目次
医学部受験はほかのどの学部よりも難関であることは間違いなく、大学によっても難易度は変わってきます。
そのため、理想だけでなく自分の学力に適した大学を選ぶことが重要です。
たとえば、大学によって偏差値や受験科目も変わるため、その違いを把握したうえで志望校を絞らないといけません。
まずは、以下のポイントについて確認しておきましょう。
志望校を絞る前に合格最低点を確認しましょう。
合格最低点は、志望校の難易度を直接的に示す指標です。
過去数年間の合格最低点の推移を確認し、自身の模試や判定テストの結果と比較してください。
ただし、年度によって変動があるため単年度のデータだけでなく、複数年のトレンドを見ることが重要です。
また、一般入試と推薦入試では基準が異なる場合があるので、自分が受験する入試方式の情報を確認しましょう。
偏差値と自身が合格する可能性について考えると、志望校を絞る際には参考になります。
偏差値は、大学の相対的な難易度を示す指標です。
自身の模試の偏差値と志望校の偏差値を比較し、合格可能性を判断します。
ただし、偏差値は目安であり絶対的な基準ではありません。
医学部は特に競争が激しいため、志望校の偏差値よりも5〜10ポイント高い偏差値を目指すことが推奨されます。
また、科目別の偏差値も確認し、得意不得意を考慮した戦略を立てましょう。
各大学の入試科目と配点を詳細に確認することも、志望校選びでは非常に重要です。
医学部では一般的に理科と数学の配点が高いですが、大学によって英語や小論文の比重が異なります。
自分の得意科目と各大学の配点を照らし合わせ、有利な入試形態を選びましょう。
また、二次試験の面接や小論文の有無、その評価基準も確認し、総合的に自分に適した大学を見極めることが大切です。
数年分の過去問を分析すると、大学の出題傾向や難易度を直接体感できるため、志望校選びに効果的です。
単に問題を解くだけでなく、出題形式・難易度の変化・頻出分野などを分析しましょう。
特に、自分の弱点と大学の得意分野が一致していないかの確認は重要です。
解答時間や問題数なども確認し、本番の試験でどのような時間配分が必要かを事前に把握してください。
競争率と志願者数の推移は、大学の人気度や難易度の変化を示す重要な指標となるため、志望校選びの際にも確認しましょう。
過去数年間のデータを確認し、上昇傾向にあるか下降傾向にあるかを見極めます。
志願者数が急増している大学は、難易度が上がる可能性が高いため注意が必要です。
また、併願パターンや地域性なども考慮し、自分の志望校がどのような位置づけにあるかを総合的に判断すると良いでしょう。
志望校を選ぶ際には、一人暮らしか自宅通学かの選択は重要な検討事項です。
一人暮らしは自立心を養い、時間管理能力を向上させる機会となりますが、生活費や家事の負担が増えます。
一方、自宅通学は経済的で家族のサポートを得やすく、生活費も高額にならずに済みます。
どの大学でも医学部は6年間の通学が必要なため、授業料以外にかかる生活費も十分考慮しましょう。
医学部を擁する大学には、国立大学・公立大学・私立大学がありそれぞれ特徴があります。
大きな特徴は、入学から卒業までにかかる費用の違いでしょう。
また、入試の難易度も「国立>公立>私立」と、費用に比例しているのも特徴の1つです。
私立だから難易度が低いというわけではありませんが、国公立のほうが競争率が高くなりやすく、入試科目が多いことで、難易度も高くなりがちです。
これら以外にも、特別職国家公務員として学生手当を支給されながら医師免許が取れる「防衛医科大学校」という特殊な医学科もあります。
また、私立大学に分類される自治医科大学も、全学生の入学金および授業料が不要となる「修学資金貸与制度」があるため、特殊な大学になるといえるでしょう。
国立大学の医学部は、全国に42校あり高度な研究と教育を提供しています。
国立大学の医学部には、以下のような特徴があります。
国立大学のなかでも、東京大学や京都大学などは特に難関とされています。
公立大学の医学部は全国に8校あり、以下のような特徴があります。
たとえば、横浜市立大学では、一部の科目で医学科独自の問題が出題されています。
私立大学の医学部は31校あり、以下のような特徴があります。
国公立大学に比べて私立大学の医学部の方が受験の難易度は低いとされていますが、それでも自分の学力にあった大学を選ばないと合格するのは難しいでしょう。
防衛医科大学校は正式には医学部でなく医学科になりますが、医師免許試験を受験できる資格を得ることができます。
特殊である意味は以下のような特徴があるからです。
また、私立大学にあたる「自治医科大学」も、以下の意味で特殊な医学部といってよいでしょう。
このように自治医科大学では、卒業後に働きながら条件を満たせば2,300万円の学費が全額免除されます。
前述したとおり、国立・公立・私立の各大学ではそれぞれ特徴があり、自分がどの大学を受験するか決めなくてはなりません。
国公立か私立大学かを決める際には、以下のポイントを抑えておきましょう。
将来どのような医師になりたいかは、大学選びの重要なポイントです。
研究医・臨床医・開業医など、なりたい医師像によって選ぶ大学が変わります。
また、学費は私立の方が高額になるため、学費を抑えるなら国公立を選ぶこととなるでしょう。
入試問題の得意不得意もあるため、自分の学力に合った大学を選ぶことも合格する大きなポイントです。
さらに、入学後の大学のカリキュラムが自分に合っているかも選択肢として大切と言えます。
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大学選びは、将来のキャリアに大きな影響を与える重要な決断です。
特に国公立大学を選ぶ際には、受験科目・共通テストと二次試験の配点など、多くの要素を考慮する必要があります。
ここでは、国公立大学の選び方について具体的なポイントを解説します。
国公立大学医学部の選択において、二次試験の科目構成は重要な要素です。
国公立大学医学部は、共通テストと二次試験の合計得点で合否が確定するからです。
各大学で受験科目数や共通テストとの配点比率が異なるため、自分の得意科目で高得点を狙える大学を選ぶことが重要です。
たとえば、数学が得意な受験生は数学の配点が高い大学を、英語が得意な受験生は英語の比重が大きい大学を選ぶことで、合格の可能性を高められます。
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2025年から実施される共通テストでは「情報Ⅰ」が必履修科目になるなど7教科21科目へと再編され、新課程に対応した入試となります。
共通テストと二次試験の配点比率は、大学や学部によって大きく異なります。
苦手科目の配点が少ない大学、得意科目の配点が高い大学を選ぶと合格率がアップします。
具体的な配点の例として群馬大学を見てみましょう。
2025年度の国公立大学医学部入試の配点一覧表によると、前期のみの試験で済み、情報Ⅰの配点は25と低く合計点も475点になっています。
さらに、二次試験も数学と理科の2教科+論文と面接のみなので負担が軽いといえるでしょう。
このように、共通テストと二次試験のバランスを考慮して志望校を選ぶことが重要です。
6年間の長期にわたる医学部生活では、大学の校風との相性が重要です。
まじめな学習環境を好む学生もいれば、より自由な雰囲気を求める学生もいるでしょう。
校風は学習環境に大きく影響するため、事前に調査することをおすすめします。
大学に通う学生や卒業生から直接情報を得たり、インターネットの口コミを参考にしたりすることで、自分に合う環境を見つけられる可能性が高まります。
ただし、口コミについては正確性に欠ける内容もあるため、参考程度に留めておきましょう。
将来のキャリアビジョンに合わせて、大学を選ぶことも重要です。
各大学には特色があり、カリキュラムや得意分野が異なります。
たとえば、研究医を目指す場合は研究医コースがある大学を選ぶことで、奨学金などの支援を受けられる可能性があります。
また、地域医療や先端医療など大学が力を入れている分野を調べ、自分のなりたい医師像に近い大学を選ぶことで、将来のキャリアに直結する経験を積むことができるでしょう。
国公立大学と同じく私立大学の選び方は、多くの受験生にとって重要な決断となります。
ここでは、私立大学を選ぶ際のポイントを詳しく解説するので、自分に最適な私立大学を見つけてください。
私立大学は国公立大学よりも、入学金や授業料が高額なことは多くの方が承知していることでしょう。
しかし、私立大学では学費以外にも以下のような費用も必要になってきます。
施設設備費、校舎やグラウンドなどの施設維持管理・実験・実習に必要な費用です。
実験や実習を行う医学部では、学年によって納付金額が変わることが多いです。
また、後援会費・学会費・保険料などの費用が必要な大学もあります。
そして教科書代は専門書が必要になるため、数万円~10万円以上になることも珍しくありません。
特に医学部では最新の技術にアップデートされることが多いため、先輩から譲ってもらった参考書が役に立たないこともあり得ます。
サークル活動も大学生活では楽しみの1つですが、入会するサークルによって高額な年会費が必要なこともあります。
このように、実際に大学に入学してから判明する学費以外の費用もあるため、事前に先輩からの聞き取りなどをおすすめします。
私立大学の医学部を選ぶ際には、奨学金の有無を確認しておきましょう。
高額な学費を奨学金で賄えれば家計の負担も減りますし、アルバイトに追われることなく学業に専念できます。
奨学金には返還が不要なタイプと、返済が必要なタイプに分かれます。
また、卒業後に指定の病院に一定期間勤務することで、返済が免除される奨学金も存在します。
1つの大学でも複数の奨学金制度が設けてあるため、自分に有利な奨学金のある私立大学を選ぶとよいでしょう。
ただし、奨学金を申込める条件もあるため、その点も含めて選ぶとよいです。
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私立大学の医学部の一般選抜の出題傾向は、他の学部と比べて非常に高い学力が求められます。
主要な科目は英語、数学、理科(物理、化学、生物の中から選択)であり、特に理科の2科目選択が一般的です。
問題の難易度は大学によって異なりますが、全体的に高度な理解力と応用力が試される傾向にあります。
さらに、面接や小論文の試験が課されることも多く、これらの対策も重要です。
これらの情報をしっかりと把握し、自分に最適な大学を選ぶことが成功への鍵となるでしょう。
私立医学部を選ぶ際、受験科目と配点は重要な判断基準となります。
各大学は独自の入試傾向を持ち、科目ごとの配点比率を変えることで特色を出しています。
たとえば、関西医科大学や大阪医科大学などでは理科を重視する傾向があり、東海大学では理科3科目から1科目を選択できるため、得意科目で勝負することが可能です。
順天堂大学のように英語資格・検定試験の成績を活用できる、入試方式を用意している大学もあります。
このように、自分の得意分野や苦手科目の配点を考慮しながら、最適な私立医学部を選ぶことが重要です。
カリキュラムや校風については、各大学が独自の特色を持っています。
私立大学医学部は国公立大学と比べて、自校の特徴を積極的にアピールする傾向があります。
大学のパンフレットやウェブサイトを詳細に確認し、6年間の学生生活をイメージして選びましょう。
また、大学のオープンキャンパスには積極的に参加して、比較検討することも重要です。
入試スケジュールに関しては、私立大学医学部ごとに日程が異なるため、複数校受験を考えている場合は特に注意が必要です。
入試日の重複を避けることで、より多くの大学を受験する機会が得られます。
また、入試日程によって受験者数が変動することもあるため、自分の得意な科目で高得点を狙える大学や、比較的受験者数が少ない大学を選ぶ戦略も考えられます。
医学部を目指している方にとって、大学選びは合格への第一歩となる重要な選択です。
家庭の経済力はもちろん、自分の学力に応じた大学を選べば医学部への合格率はアップします。
しかし、どのようなポイントに注意して大学を選べばよいか迷う方も多いでしょう。
本コラムで紹介している大学選びのポイントを参考にすると、希望に沿った合格できる志望校を決められるので、ぜひご活用ください。