医学部を受験するにあたって、学力の向上はもちろんですが、学費の負担の大きさも課題のひとつ。
6年間の学費を払い続けなければなりません。
それに、私立より学費が安い国公立大学医学部の試験は受験科目が多く、レベルも高いです。
そこで、学力や金銭面での悩みがある中どうしても医学部にチャレンジしたい!という方におすすめなのが地域枠です。
その試験内容やメリットとデメリットについて具体的にご説明します。
目次
医学部受験では、通常の一般入試、推薦入試などの他に、地域枠で受験するという方法があります。それは、一体どのような受験方法なのでしょうか。
指定の大学医学部で学び、卒業後指定地域や指定の診療科で医師として働くことが条件となります。
その地域の高校出身者を対象にした、出身者枠がある場合もあります。これは、出身者は地元に馴染みがあり、大学卒業後も地元で勤務することを望んでいる方が多いためです。
他の地域からの移住者の場合は、その土地に馴染めずに離脱してしまったり、卒業後にやはり自分の地元に帰りたい、他の地域で働きたいと考える人が出てきたりすることが予想されるからでしょう。
地域によっては医師不足で困っているところもあります。そんな地域による医師数の格差を解消するために設立されたのが、この地域枠という受験方法です。
地域枠で入学した医学部生は決められた期間、指定地域や場所、様々な条件で医師として仕事をすることで、学費免除や奨学金の返済義務がなくなるなどの恩恵を受けられるのです。
地域枠を設けることにより、地域ごと、診療科ごとの医師の偏在を解消することができます。現在、全国の医学部の90%以上で地域枠を採用しており、年々その割合は増えてきています。
地域枠の試験内容、選抜方法は大学によって異なりますが、一般入試と同じように共通テストや大学独自のテストを受け、その後2次試験を行い地域枠の選抜をする方法が一般的です。
そのほか、小論文や面接といった試験を設けており、地域の医療に携わる意志が確かなものなのかをアピールする必要があります。
地域枠は、金銭的負担が減らせるという大きなメリットがあります。
しかし、卒業後の勤務条件が厳格に定められている場合があり、それが自分の希望と合わないのであればデメリットとなるでしょう。
そこで、地域枠で受験することの一般的なメリットとデメリットをいくつかご紹介します。自分にとって地域枠での受験が適切であるのか、検討してみてください。
地域枠は、一般入試の募集定員とは別枠で募集枠を設けているところが多いです。
一般入試と比較すると、倍率が低く、中には定員割れしているところもあります。
しかし、学生の学力が低いというわけではなく、卒業後 の国家試験合格率は一般入試で入学した人を上回っています。
地域枠での受験では、学費の負担を抑えられるのが最大のメリットです。
医学部受験にチャレンジできる程の学力はあるのに、金銭的な問題で医学部受験を諦めざるを得ないという方にとってはおすすめです。
一般的には生活費などに対して、毎月10万〜20万円の奨学金が貸与されたり、入学金や学費などの修学費が別途支給されたり、学費免除という有難い制度をとっているところもあります。
6年間、学費や生活費の心配をせずに勉学に打ち込むことができ、立派な医師へと成長できるでしょう。
何が何でも医師になりたい、場所や診療科は問わない、という強い気持ちがある人には地域枠はぴったりです。
必要とされる場所で、社会や人々のために貢献できます。
地域枠の条件は、その地域、学校によって異なります。
医学部卒業後の勤務要件が受験の際の募集要項で決められている事が多く、例えば「卒業後9年間は地域医療に携わること」といったものがあります。
また、医師不足である産婦人科医や小児科医など、診療科が定められている場合もあり、希望する診療科に進みにくい場合もあります。
地域枠では、場合によっては、その地域の中で勤務先を選択できることもあります。
しかし、先述した通り受験する時点で卒業後の勤務先が決められていることが多いです。
医学部で6年間学んでいく中で、やはり他の地域や海外で働きたい、もっと研究したいなどといった進路の変更が出てくるかもしれません。
そんな進路に対する考え方の変化があったとしても、地域枠で受験した以上はキャリアの変更が難しいです。
条件とは異なる進路に進む場合には、奨学金を全額返還しなければなりません。6年間の医学部生活で貸与した奨学金を高利率で返済しなければならないケースや違約金を設定される事例もあります。
ただし、大学の地域枠内容によっては卒業後の一定期間の県外勤務や留学など将来の選択肢を増やすことや、、奨学金の返済義務がない、という学校もあります。入学試験を受ける前に、条件を十分に確認し、理解しておく必要があります。
医学部で6年間学び、その後研修医として働き、医師として働き始めます。
一定期間勤務を続ける条件などがありますが、その20代〜30代というのはキャリア以外でのライフイベントも多くある時期でしょう。
結婚し、パートナーとの新しい生活を考え、転居を望む場合もあるでしょうし、女性の場合は、出産などによりキャリアを中断すること、休職することなどが起こり得る時期です。
しかし「地域枠」というものに関して、上記のような場合における配慮や細かな制度などがしっかりと確立されていなかったり、曖昧だったりするのが現状です。
今は医学部受験対策で精一杯で結婚や出産など考えていない方が多いと思いますが、20代〜30代にはそのようなことが起こり得るということも考えておき、後悔しない人生設計を立てていきましょう。
地域枠を実施している関西圏の大学を具体的にご紹介します。
大学によって異なる出願条件をチェックし、自分に合った進学先を調べてみましょう。
名称:大阪府指定医療枠、
募集人数:5名
受験料:30,000円
出願条件:卒業後の所定のプログラムに参加する意志のある者。
学校推薦型選抜の場合、大阪出身者で高等学校長の推薦を受けた者を対象に、地域医療枠に出願可能。出願書類、小論文、面接などにより、将来大阪の医療に携わる意志を確認する。
名称:一般枠(大阪府地域枠)
募集人数:2名
受験料:60,000円
出願条件:出身地を問わず、出願可能。他の入試選抜方法と併願可能。
ただし、地域枠で合格した場合、入学を確約すること。将来は大阪府が指定する救急、周産期医療などの診療科での勤務や比較的医師数の少ない地域の公立病院などで勤務する意志があること。大阪府地域医療確保修学資金(月10万)及び大学独自の修学資金(年200万)が貸与される。
名称:地域枠学校選抜型選抜試験(専願制)
募集人数 :5名(大阪府)
受験料:60,000円
出願条件:専願し、合格後必ず入学することを本人及び保護者が確約できる者。地域医療に携わる意志のある者。全体の学習成績が3.5以上の者。月10万、年120万の奨学金が貸与される。
名称:医学部地域枠入学試験(一般前期型)、医学部地域枠入学試験(一般後期型)
募集人数:3名(大阪府)
受験料:57,000円
出願条件:出願時800字程度の地域枠志望理由書を提出。地域医療に貢献しようという明確な意志を示すこと。
地域枠で出願する場合、学校によって一般入試と同様の試験を受けなければならないところ、推薦入試を受けるところなど様々です。入学試験を突破することはもちろん、入学後の授業にしっかりと対応し、国家資格をとるためには、医学部予備校での勉強がおすすめです。そこで、大阪の医学部予備校を4校ピックアップしました。
入学金:100,000円(税別)
設備維持費:10,000円(税別)
1時間あたりの授業料:9,000円(税別)*1コマは2時間のため、1コマ18,000円~
レギュラーコースだけでなく、オンライン授業、単発講座なども充実しています。
授業料等:要問合せ
個別指導や期間限定講習など、様々なコースがあり相談してカリキュラムを組み立てることができます。
授業料等:要問合せ
入学金:100,000円
授業料:学年、コースにより異なる。