思うように勉強が進まず志望大学に届かないと思うと落ち込んでしまうかもしれませんが、医師を目指そうと思うあなたは素晴らしい!逆転の発想で、今の実力で入れる国立大学医学部を探してみると言う方法もあるのです。それは最終目的は医師になることなのだからです。医師になるには入学した後の勉強も大事。できない入試に時間を割くよりも、できる入試に切り替えて国試に備えると言う考え方をご紹介します。
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医学部に入学するのは手段であって目的ではないと言うことに気が付いた時、医学部に入ることだけでなく、その先の国家試験も考えましょう。
受験勉強と医師になる為の国家試験は別物です。大学受験は落とすための試験、国家試験は受からせる為の試験と言う考え方もあります。これは医師国家試験の合格率が高い事を意味するのですが、医師として働くには医学部に入り、国家試験に合格しライセンスを取得する必要がある訳です。
大学に入学しても国家試験に受からなければ医師として働く事はできません。それならばら偏差値ではなく得意科目で勝負してみませんか。上記のように考えるなら、入れる医学部を探す為に得意科目の配点の高い大学を探してみるのは、どうでしょうか?
皆さんは、そうは言っても旧帝大系の国試合格率は、やっぱり高いと思っていませんか?実は旧帝大系が必ずしも国家試験の合格率がよいわけではないのです。
2022年の医師国家試験の合格率は91.7%でした。合格率100%は自治医科大学のみ。新卒者の合格率が100%ですから素晴らしいですね。次に、筑波大学医学部、浜松医科大学と続きます。いずれも旧帝大系の医学部ではありません。
最終目的は医師免許を取得することです。医学部は医師国家試験を目指す場所。医師国家試験はどこの大学で受けても違いはないのですから、大学にこだわるよりも、入学した大学で国家試験に向けて、どれだけ邁進できるかに尽きるとも言えるのです。
国公立大学医学部と言うと共通テストの配点が高いイメージがありますが、中には共通テストの配点比率(二次試験の配点比率が高いため)がかなり低い大学があります。
例を出しますと、東京大学は共通テストの配点比率が20%、京都大学も20%、東北大学は21%、金沢大は30%、北海道大学36%といった具合に共通テストの配点比率が低めな傾向です。
共通テストの結果が良いに越したことはありませんが、例に出した大学は仮に一次試験で失敗したとしても、二次試験の科目や面接でいくらでも挽回できるチャンスがある大学なのです。
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ただし、ひとつ注意点があります。あくまでも二次試験の配点比率が低いだけであり、その大学自体の偏差値等が低いわけではありません。その部分をはき違えないよう注意してください。
理系科目に目が行きがちな医学部ですが、文系科目の方が得意な方もいるかもしれません。中でも山形大学や名古屋大学、京都大学のように二次試験に国語がある大学もあります。
また、東京大学では2次試験の理科の科目選択に地学があり、地学が得意な受験生は大きなポイントとなると思います。
受験科目に少しでも自分の得意な科目がある大学を選択すれば、二次試験の点数に良い形で影響をあたえる事が出来ます。
二次試験の科目数が少ない大学をあえて選択していくと言う方法もあります。単に科目数が少ない大学ならば、例えば英文論文はあるものの数学、理科2科目の群馬大学。受験科目的には外国語と数学のみの2科目といった、島根大学、徳島大学、秋田大学などもあります。
今や、医師になるために、面接は必須項目となりました。当然、面接では、医師になるに相応しいかを見ています。人柄に自信があるなら、面接に配点のある大学も選択肢の一つにしてみてはどうでしょうか?
弘前大学などは面接重視の大学です。ただし、山梨大学のような、面接に点数が付かなくても面接の評点が低いと不合格の可能性もある大学も存在します。
各大学では、将来、医師になる受験生の人間性をみようと面接を行います。大学合や医師になることだけがゴールではなく、医師になってどのような医師となり、どんな医療の現場に臨むのかを聞きたいのだと思います。
どのような目的、志を持って今受験に向かっているのか?面接対策は自分の将来を見つめる良い機会かもしれません。
まずは、共通テストの配点が素点なのか圧縮配点なのか、傾斜配点なのかを確認し共通テストを受けた結果で第一志望校に到達しているか否かを分析しましょう。
その上で、二次試験の日程を調整し試験全体のスケジュールをしっかりと立ててから試験に臨むのがベストでしょう。そうすれば、自ずと第二、第三志望を決まってくるでしょう。
先ほど国公立大学医学部といえども、少ない科目で受験できる国公立大学の医学部があることや、共通テストの配点比率が低いこと、面接の重要度が高い大学と色々お話しました。では各項目について、具体的に大学を紹介しましょう。
旭川医科大学は一般前期の2次試験は数学150点、外国語150点と面接50点です。因みに倍率は上がるものの一般後期の2次試験は外国語200点と面接50点になります。
ただし、二次試験の配点比率が40%未満とあまり高くありませんので、共通テストの点数に大きく左右される場合があります。志望校に選ぶ場合には、その点も注意しましょう。
秋田大学医学部の一般前期の2次試験は数学100点、外国語100点と面接200点です。一般後期の2次試験は論文100点と面接200点です。
前期の面接の配点がテストの2科目の配点の合計と同じ点数となっています。受験科目が少ない分、面接対策もしっかり行うことが合格へのカギを握るかもしれません。
島根大学医学部の一般前期の2次試験は数学200点、外国語200点と面接60点です。後期試験はありません。二次試験の配点比率が40%とあまり高くない分、共通テストの影響も受けやすい状況かと思います。
前の章で述べたように、二次試験の配点比率が高い大学は、共通テストで失敗しても挽回できる可能性があります。二次試験の結果次第で逆転合格もある大学を紹介します。
東北大学医学部は一般前期の2次試験は数学、理科、外国語が各250点で面接は200点。面接時には小作文があります。後期試験はありません。
二次試験の配点比率は79%とかなり高く、共通テストの結果だけでは合否が全く分からない形です。
東京大学医学部は共通テストの900点を110点に圧縮しており、一般前期2次試験は国語80点、数学120点、理科120点、外国語120点で、理科は地学も選択可能となっています。一般前期2次試験の配点比率が80%と大幅に高い大学で、面接の配点はなく、後期試験もありません。
二次試験の配点比率から見ると、大きなチャンスがあると思いますが、もともとの偏差値は72%と高く、共通テストの得点率は85%以上とこちらもかなり高くなっています。二次試験の配点比率がただ高い大学を選ぶのではなく、志望校の見直しする際には、自分の現状把握をしっかりと行うことが大切です。
金沢大学医学部は、一般前期2次試験は数学300点、理科300点、外国語300点、面接150点です。二次試験の配点比率は70%と高い比率となっています。
面接重視と言えば弘前大学医学部と言えるくらい、面接の配点が高い大学です。2次試験は総合問題300点と面接が200点となっており、総合問題の点数が著しく低い場合や、面接の評点が低い場合には、不合格の可能性があります。
500点満点中の200点が面接の配点であることを考えると、医師に値する人物であるのか、受験生の人間性をじっくり見る大学です。
滋賀医科大学も面接の評価が高いと言われれる大学の一つです。しかしながら弘前大学のように配点化されてはいません。しかも、医学部面接では珍しく、集団面接ではグループ討論が行われます。あるテーマが出され、それについて受験生同士が自分の意見を述べるといった形です。
いずれもコミュニケーション能力や対応力、医師としてのバランス能力や適性を見ていると言われています。どのような面接でも普段考えていること、感じていることがでるものです。
受験勉強は、もちろんですが、どのような面接にも対応できるよう日頃から将来の医師像を明確にしておくことが大切です。
受験科目が少ない大学や、二次試験の配点比率が高い大学などポイントを絞って見てきました。今は、どこの医学部出身かよりも医学部に入った後、専門を見極め、医師として何をしたいかが重要になりつつあります。
入りたい医学部ではなく、入れる医学部を目指す。医学部合格はゴールではありません。医師になるためのスタートラインに立つためにも、今一度自分の現状把握をしっかりと行い、志望校の見直しや医師としての将来の目標を見つめ直すことも大切だと思います。