医学部に受験をする際に、事前に医学部の序列について理解しておくことは非常に大切です。
偏差値や合格率、将来のキャリアなど序列によって違いが生まれてくるため、序列がどうなっているかを把握しておくことで自身にマッチした医学部を見つけられるようになります。
本記事では、医学部受験を考えている方に向けて、医学部の序列の実態について詳しく解説します。
目次
単なる難易度ランキングとは異なり、設立からの歴史の長さや医学界への貢献度によって決まる医学部の序列。
国内に存在する医学部は国公立・私立問わず、序医学業界における影響力や伝統によって序列がつけられます。
例えば、医学部の序列は以下のグループに分けられます。
医学部を選ぶ際にはご自身のキャリアプランや興味関心と照らし合わせ、序列も参考にしながら検討することが重要です。
先述したように、医学部の序列はいくつかのグループに分けられます。
国公立と私立ごとに医学部の序列について詳しく解説していきます。
国公立大学医学部の序列は、以下の通りです。
序列 | グループ | 大学 | 偏差値 |
---|---|---|---|
1 | 旧帝国大学 | 東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・九州大学 | 68~76 |
2 | 旧制医科大学 | 千葉大学・新潟大学・金沢大学・岡山大学・長崎大学・熊本大学・京都府立大学 | 66~69 |
3 | 旧設医科大学 | 神戸大学・横浜市立大学・名古屋市立大学・大阪公立大学など11校 | 65~69 |
4 | 新設医科大学 | 筑波大学・滋賀医科大学・弘前大学・旭川医科大学など | 63~68 |
歴史が長い大学ほど上位のグループに位置づけられており、「旧帝国大学」や「旧制医科大学」では国からの援助金も多く、研究設備や環境が整っている傾向です。
東京大学や京都大学など最難関大学が所属する旧帝国大学は、偏差値も68~76と非常に高いです。
また、旧制医科大学、旧設医科大学、新設医科大学は偏差値の差は無いものの、歴史や実績という面での違いから序列に差が出ています。
私立大学医学部の序列は、以下の通りです。
序列 | グループ | 大学 | 偏差値 |
---|---|---|---|
1 | 私立旧制医科大学 | 慶應義塾大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学 | 69~74 |
2 | 旧設私立医科大学 | 東京医科大学・大阪医科大学・久留米大学など | 63~68 |
3 | 総合大学 | 近畿大学・日本大学・帝京大学・東海大学 | 63~65 |
4 | 私立新設医科大学 | 北里大学・愛知医科大学・金沢医科大学など | 62~64 |
慶應義塾大学や東京慈恵会医科大学などが所属する私立旧制医科大学は、偏差値も69~74と非常に高いです。
医療における幅広いネットワークやICTを活用した教育など、それぞれに強みがあります。
総合大学と私立新設医科大学は比較的新しく、医療の地域格差問題を解決するために設立されました。
旧帝国大グループに次ぐ援助金を獲得していたり、産業医を目指すといった特定の医師を目指すことを目的としていたりと大学ごと魅力があるので、序列と医学部としての良さがイコールではないとわかるでしょう。
序列が将来に与える影響について、以下のポイントごとに掘り下げて解説していきます。
実際に医学部の序列が将来に与える影響はどのようなものか、確認しましょう。
医学部の序列は、就職活動において直接的な有利不利を生むとは限りません。
しかし、序列の高い医学部ほど大学病院などの関連病院を多数抱えているため自大学の医局に入りやすく、医局人事を経てキャリアを形成していくという選択肢が広がります。
特に研究医を目指す場合、医学部の序列は重要な意味を持ちます。
例えば、旧帝国大学や私立旧制医科大学などの上位に位置する医学部は研究費(科研費)が豊富であり、最新の研究設備や高度な研究環境が整っていることが多いです。
そのため、学生時代から最先端の研究に触れる機会が多く、研究に打ち込みやすい環境に身を置くことができます。
また、国内外の研究機関との連携も強固であり、グローバルな視点を持って研究に取り組むことが可能です。
医学部の序列と年収の間には、直接的な相関関係は薄いと考えられています。
医師の年収は、個人の能力や経験、勤務先の種類、勤務形態(常勤、非常勤)、地域など、様々な要因によって大きく左右されるからです。
例えば、高度な専門スキルを持つ医師や地方で医療ニーズの高い診療科に従事する医師は、医学部の序列に関わらず高収入を得る可能性があります。
開業医は勤務医よりも収入が高くなる傾向があり、独立しているかも年収に大きく左右します。
一方で、医学部の序列が間接的に年収に影響を与える可能性も否定できません。
上位の医学部出身者は高度な医療技術や知識を習得する機会に恵まれやすく、専門医資格の取得やキャリアアップにつながる可能性があります。
さらに、人脈形成の面でも有利な場合があり、結果的に年収に影響を与えることも考えられます。
医学部の序列が高いほど卒業生の数が多く、医学界における人脈を広げやすい傾向があります。
特に、旧帝国大学や私立旧制医科大学といった歴史の長い大学は各分野で活躍するOB・OGが多数存在しており、強固なネットワークを形成しています。
また、序列上位の大学では同窓会組織が活発であり、先輩医師からの指導や助言、キャリアに関する情報提供など、様々な支援を受けることができます。
さらに、研究会や学会などのイベントを通じて、他の医療機関や研究機関との繋がりを築く機会も豊富です。
医学部の序列は、患者からの信頼に影響を与える可能性があります。
一般的に、序列の高い大学は歴史が長く多くの人々にその名が知られているため、患者は安心感や信頼感を抱きやすい傾向があります。
特に、初めて受診する患者や専門的な知識を持たない患者にとって、医師の出身大学は判断材料のひとつです。
序列の高い大学の出身であるという経歴は、患者に「優秀な医師である」「質の高い医療を提供してくれる」といった印象を与え、信頼関係を築きやすくしてくれるでしょう。
しかし、医師としての実力や経験、患者への丁寧な対応などは大学の序列以上に重要です。
患者は医師の知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力や人間性も重視します。
そのため、序列の高い大学出身であっても患者への配慮を欠いたり、説明が不十分であったりすると信頼を失う可能性があります。
医学部選びにおいて、最も重視すべきは「何を学びたいか」という自身の興味や将来の目標です。
医学部での6年間は長く、専門的な知識や技術を習得するだけでなく、医師としての倫理観や人間性を育む期間でもあります。
そのため、自分の興味関心に合致したカリキュラムや研究分野を持つ大学を選ぶことが、充実した学生生活と将来のキャリア形成に繋がります。
例えば、特定の臓器や疾患に興味がある場合、該当分野に強みを持つ研究室や臨床科がある大学を選ぶことで、より専門的な知識や技術を学ぶことができます。
また、地域医療に貢献したいと考えている場合は、地域医療に力を入れている大学や地域連携のプログラムが充実している大学を選ぶと良いでしょう。
もちろん、序列の高い大学には研究費が豊富であったり、卒業生のネットワークが強固であったりといったメリットがあります。
しかし、序列が高い医学部に入学するメリットは自分の学びたいことや将来の目標と合致していなければ、十分に活かすことができません。
したがって、志望校を選ぶ際にはまず自分が何をしたいのか、どのような医師になりたいのかを明確にし、各大学のカリキュラムや研究分野、教育体制などを比較検討することが重要です。
序列の高い大学には、関連病院が多い、研究費が豊富、広いネットワークを持つなどのメリットがあります。
しかし、志望校選びにおいては序列だけでなく、自分の興味や将来の目標に合致したカリキュラムや研究分野を持つ大学を選ぶことが重要です。
そして、最適な志望校を選ぶためには序列を参考にしつつも、自分が何を学びたいのか、どのような医師になりたいのかを明確にし、各大学の特徴を比較検討することが大切です。
なお、志望校選びに困った際も頼れる存在が、医学部予備校です。
医学部受験のプロによる、志望校選びや合格に向けた学力アップサポートは大きな力になるでしょう。
医学部予備校に関してはこちらをご覧ください。