医学部受験では数学で高得点を取ることが、合格につながるカギといっても過言ではありません。
数学の試験では、スピーディな計算能力が必要になってくるので時間配分も重要です。
さらに数学の出題範囲は広い上に科目数も、数Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・Cと多く、受験対策は早期にとりかかる必要があります。
そこで医学部受験で高得点を狙える数学の勉強方法を解説すると共に、おすすめしたい数学の参考書を10冊ご紹介します。
目次
国公立大学の医学受験では共通テストの数学の得点は、最低でも85%以上ないと合格ラインに達しません。
合格圏内に確実に入るなら90%以上が必要となり、数学の受験対策は万全にしておくことが重要です。
また、数学の得点の配分比率は高く、国公立大学の上位10位の大学で28.6%~35.0%となっており、いかに数学で高得点を取るかが合格の鍵になります。
そこでここでは、代表的な国公立大学別に数学の出題傾向について解説します。
標準的なレベルから難問レベルまで大問6題で構成されていて、微積分・ベクトル・整数・確率の問題がよく使われる傾向にあります。
解法の暗記はもちろん必要ですが、どのような点に着目して解法を導くかについて、柔軟な解き方が求められます。
いつも大問6題の構成で出題され、偏りなく全ての分野の問題が出題されます。
苦手分野があるとそこで点数を落としてしまうので、ほぼ全ての分野を習得しておく必要があります。
標準レベルから応用レベルまで、スキのない知識の習得が求められます。
大問6題の記述式の構成で出題され、出題頻度の高い分野は微積分・ベクトルを含む空間図形・確率・整数となっています。
問題の難易度を見極めて、スピードのある計算と解法を導き出すための発想力が必要です。
大問4題で構成されており、高校数学全般から出題されます。
微積分を中心に数学Ⅲからの出題傾向が高いのが特徴なので、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの知識をしっかり習得した上で数学Ⅲを身につけることが重要です。
標準ランクからやや難問レベルの問題が出題され、典型問題の解法をしっかり身につけておくことが必要です。
大問5題で構成され、高校数学全般の中から微積分や確率を中心に出題されます。
レベルとしては標準からやや難問レベルとなり、証明問題が多く出題されるのが特徴です。
典型問題の解法の習得と、答えを導くまでの過程を説明できるように勉強することが重要です。
私立大学では大学ごとに独自の問題を出題するので、受験する大学の出題傾向をつかむ必要があります。
ここでは、代表的な私立大学の医学部別に数学試験の出題傾向を解説します。
大問4題の構成となっていて、このうち1問が小問題を集めています。
大問2では確率漸化式が出題される傾向が強いです。
さらに大問3および4は、微積分・数列の出題率が強い傾向にあります。
出題レベルは標準レベル以上の出題が多く、難問も含まれます。
大問5題の構成となっていて、難問が含まれる傾向が高くなっています。
対策としては証明問題を中心に知識を高めて、論理的な思考力を身につけることが重要です。
よく試験に出されるのは、微積分・確率漸化式・ベクトルで、近年では融合問題も出題されています。
大問4題の出題となっていて、第1問は小問集合、第2問から4問は大問の出題となる構成です。
標準的な難易度レベルなので、典型問題の解法をマスターしていれば高得点を取ることが可能です。
ただし計算量が多く、いかにスピーディに正確に計算できるかが鍵となっています。
大問3問の構成で、数学Ⅲは出題されないのが特徴です。
数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bのみが出題範囲なので、確率や図形と計算、微積分、数列などの出題傾向が高くなっています。
難易度は標準レベルであり、解けない難問が出題されることはありません。
その代わり、試験時間は60分と短いので難題が出題されないと侮っていると、時間が足りなくなってしまうので要注意です。
大問3題の構成で、難易度は難関私大レベルです。
出題傾向は毎年分野にばらつきがあるので、絞り込むのが難しい試験内容となっています。
数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・Bの全範囲から幅広く出題されるので、全ての分野の基礎から応用力まで身につけておく必要があります。
計算のスピードも重要となるので、難問をたくさんこなして正確で素早い計算力が求められます。
国公立大学および私立大学の医学部を目指すなら、数学は確実な知識を身につけなければなりません。
単純に公式を暗記しただけでは、答えに辿り着くことができないからです。
数学の勉強方法に、国公立大学用とか私立大学用などの専門の勉強法はなく、いずれも共通した勉強法となってきます。
数学では定義・定理を正しく理解して問題を解いていかないと、答えを導き出すことは不可能です。
まずは定義・定理を正しく理解し複数の解法を組み合わせて、論理的に考えながら答えを導き出すこととなります。
そうなると、数学が不得意のままでは話になりませんから、高校1年のときから数学を得意科目としておくことがポイントになります。
また、中学の数学レベルが土台となって高校数学が成り立ってきますので、中学レベルの数学は完璧にしておかねばなりません。
国公立大学でも私立大学でも、数学で重要なのは高い基礎力です。
たとえば、問題を解いていて「なんとなく解けてよかった」では、医学部受験では通用しません。
高いレベルで問題を理解し、根拠ある解法を使って素早い計算力で自信をもって正解を導き出す実力が必要です。
そのためには、基礎力を徹底的に鍛える勉強法が求められます。
数学の勉強では参考書を使うと、基礎力から応用力を身につけて難問を解く勉強が可能となります。
しかし、自分のレベルにあった参考書を選ばないといけません。
たとえば、基礎力をつけたのにレベルの高い参考書を使っても意味がありません。
逆に、基礎力はバッチリで難問に挑戦したい方が、レベルの低い参考書を使うのも意味がなくなってしまいます。
そこで、参考書選びの3つのポイントを解説します。
それではおすすめの参考書をご紹介する前に、参考書選びの3つのポイントを解説します。
数学の勉強において基礎力が重要なことは、何度も触れているとおりです。
ただ、どのジャンルの基礎力が足りないのかをはっきりさせて、苦手なジャンルに特化した参考書を選びます。
基礎力が付いてきたなら応用力を養う勉強が必要ですから、今度は応用問題が多く解説が分かりやすい参考書を選びましょう。
そして不正解となったときに解説を読めば、どこで間違ったのかがしっかり分かる参考書がおすすめです。
さらに、難問に対応できる力が身に付く参考書も忘れてはいけません。
ここでは、数学の基礎を固める参考書を5冊ご紹介します。
まずは、基礎力がなければ話になりませんから、紹介する参考書でしっかり基礎力を身につけましょう。
著者名 | 小杉拓也 |
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出版社 | かんき出版 |
おすすめしたい人 | 高校数学の基礎をしっかり固めたい人 数学が苦手な高校1年・2年生 |
この本のおすすめポイントは、とにかく数学が苦手な方が理解できるように説明されている点です。
高校1年・2年の内にしっかり数学の基礎を固めておくことは重要です。
高校では習わない問題の解き方などが掲載されていて、高校の数学I・Aの重要ポイントのみが詰まった一冊です。
著者名 | 米村明芳・杉山義明 |
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出版社 | 駿台文庫 |
おすすめしたい人 | 数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの知識を確実にしたい人 苦手なジャンルを克服したい人 |
この本のおすすめポイントは、ハイレベルとなっていますが高校3年生の数学の基礎を確実にできるところです。
特に苦手なジャンルがある方に向いており、この参考書を利用すれば苦手なジャンルをなくすことが可能です。
著者名 | 馬場 敬之 |
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出版社 | マセマ |
おすすめしたい人 | 数学Ⅲの基礎を勉強したい人 数学Ⅲの教科書では理解できなかった人 |
この本のおすすめポイントは、数学Ⅲの基礎知識を身につけることができる点です。
特に数学に必要な微積分がよく分かってない方でも、マスターできるように作られているので効果は大きいです。
数学Ⅲの基礎が確実でないと受験対策が万全とならないので、数学Ⅲの基礎力を効率的に身につけるのに適した一冊となっています
著者名 | 広瀬 和之 |
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出版社 | 文英堂 |
おすすめしたい人 | 数学Ⅲの計算問題を早く解きたい人 正しい計算方法を身につけたい人 |
この本のおすすめポイントは、数学Ⅲの基礎力を身につけて正確でスピーディな計算方法を知ることができる点です。
解き方が分かっていても計算スピードが遅くイライラしている方には、特におすすめしたい一冊です。
正しい計算方法のコツを学ぶことができるので、数学Ⅲの苦手意識をなくすことが可能です。
著者名 | 安田亨 |
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出版社 | 東京出版 |
おすすめしたい人 | 確率が苦手な人 |
この本のおすすめポイントは、苦手な確率を克服できるところです。
医学部の数学受験では確率を苦手なままにしておくと、得点が伸びないのはいうまでもありません。
確率を苦手とする受験生は意外と多く、この参考書で早めに確率を自分のものにすることが可能です。
では次に、数学の応用力を高める参考書を5冊ご紹介します。
基礎力がバッチリなら今度は応用力を高めて、難問も解けるようにしなければなりません。
そんな方にぴったりな参考書を5冊、見ていきましょう。
著者名 | 大石 隆司 |
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出版社 | 河合出版 |
おすすめしたい人 | 応用問題を確実にしたい人 数学の得点を伸ばしたい人 |
この本のおすすめポイントは、数学I・A・II・Bの各分野から厳選された良問が掲載されているところです。
難易度の高い問題も掲載されているので、この参考書をクリアすることで数学の得点を確実に伸ばすことができます。
また、解答の解説部分が丁寧なので間違った部分を理解でき、同じミスをすることを減らせるでしょう。
応用問題から難易度の高い問題を解くことで、受験本番に備えることができます。
著者名 | 豊田 敏盟・竹内 英人・ほか9名 |
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出版社 | 新興出版社啓林館 |
おすすめしたい人 | 基礎力を確かめながら応用力を身につけたい人 ジャンルごとに知識を確実にしたい人 |
この本のおすすめポイントは、基礎問題から難問までがジャンルごとに網羅されているところです。
基礎力を確認しながら応用問題を解くことで、隙のない数学の知識を習得できます。
解説が充実しており、問題の解法を見つける力を養うことで難題も克服できる仕様です。
数学の勉強をする際に人気の高い参考書として、多くの受験生が利用しています。
著者名 | 数研出版編集部 |
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出版社 | 数研出版 |
おすすめしたい人 | 過去問を解いて実力をつけたい人 解法を確実に理解したい人 |
この本のおすすめポイントは、理系学部の過去問から構成されているところと、分かりやすい解説が掲載されているところです。
問題のレベルもA~Cの3段階に分類されていて、実力を試しながら過去問に取り組むことができます。
解説が丁寧なので問題の傾向による解法の使い方も分かり、受験対策にはとても有効な一冊です。
著者名 | 続木 勝年・宮嶋 俊和 |
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出版社 | 河合出版 |
おすすめしたい人 | 数学Ⅲの本格的な受験対策をしたい人 これまでの入試問題を解きたい人 |
この本のおすすめポイントは、数学Ⅲの本格的な受験対策がおこなえる点です。
国立大学の二次試験、私立大の数学試験に合わせて構成されていて、応用力を鍛えることが可能となっています。
受験対策に有効な良問76題を掲載、解説も充実しているのでマスターすれば記述・論述問題にも強みを発揮できます。
著者名 | 西山清二 |
出版社 | 河合出版 |
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おすすめしたい人 | 医学部受験における数学Ⅲ対策を確実にしたい人 難易度の高い問題を解いて実力をアップさせたい人 |
この本のおすすめポイントは、タイトル通り医学部を受験する方用に構成されている点です。
60題の問題にそれぞれの類題を掲載し、難問を解く力を身につけていきます。
分野としては「極限・微分法の応用・積分法の応用・微分総合・積分総合・2次曲線と極座標・複素数平面」で構成され、数学Ⅲの学習範囲を網羅しています。
今回は、医学部受験で高得点を狙える数学の勉強法を解説すると共に、おすすめできる数学の参考書を基礎編5冊、応用編5冊に分けてご紹介しました。
医学部受験では数学で高得点を取ることが、合格への切符となるといっても過言ではありません。
それだけ落とすことができない教科となっているのは、間違いないのです。
まずは基礎力がないと応用問題を解くことは難しいですし、難題を解くことはほぼ不可能となってきます。
つまり、数学を制するには確実な基礎力が必要という訳です。
今回解説した勉強法と、紹介した参考書を使って基礎力を確実なものとした上で、応用問題・難問へとステップアップさせていくことで、合格がグッと近くなります。