文系出身から医学部を受験するのはハードルが高いと思う人は多いのではないでしょうか。しかし、医学部受験の合格条件を満たしていれば、文系出身でも合格することは可能です。実際に文系出身で現在医師として活躍している人もいるため、正しく対策を行うことで道を切り開くことができるでしょう。このページでは、文系から医学部を再受験する際に気をつけるべきポイントを解説していきます。
目次
難易度が高いことで有名な医学部受験では、受験勉強を始める前の準備も重要です。理系出身者でも難しい医学部受験において文系出身者が再受験を目指すとなると、そのハードルは当然高くなります。しかし、受験勉強に取り掛かる前にしっかり戦略や計画を練っておくことで効率的に合格を目指すことが可能です。
ここでは医学部受験をするにあたり、まず何をすべきかをご紹介していきます。
医学部受験を目指すにあたって、まずは自分の学力を把握することが大切です。
医学部受験では基礎力が何よりも大切だと言われています。そのため、基礎が身に付いていない状態で応用問題を解いていても効率が悪く、多くの時間を費やしている割には成果が出ないと感じて挫折してしまう場合もあります。限られた時間の中で効率的に学力を上げていくためには、はじめに基礎がしっかり身についているかをチェックした上で、応用問題に移るのがおすすめです。
また、自分の得意な教科とそのレベルを知っておくことも大切です。医学部受験の出題形式や配点は大学によって様々なので、得意な教科を伸ばすことが合格への近道にもなり得るからです。特に文系から医学部を再受験する場合は、文系教科の得意分野を伸ばすことでライバルに差をつけられるでしょう。
自分の学力を把握するためには、模試の判定を参考にしましょう。
現役生の場合は高校の成績を参考にすることもできますが、高卒生の場合は現時点での学力を把握することが大切なので、これから受験勉強を進めていく中でも、数ヶ月に1度は模試を利用して自分の学力チェックを行うのがおすすめです。模試の結果から軌道修正し、その時々の状況に合った学習を進めていくことができるようになるでしょう。
もちろん自分が行きたいと思う学校を基準に考えることも大切ですが、それと同時に自分の学力を見極めた上で、確実に狙っていけると思う学校を選ぶことも医学部受験を勝ち取るためには重要な考え方です。
模試の活用方法に関してはこちらのページでもまとめていますのでぜひ参考にしてみてください。
自分の学力が把握できたら、志望校のレベルや試験内容などの情報を集めていきます。
そもそも医学部自体が難関であることはもちろん、各大学で出題傾向が違うとなると、それに合わせて対策をしっかり行っていかなければ合格を勝ち取ることはできません。逆に言えば、コツをおさえて要領よく学習を進めていけば短期間で合格をつかむことができるでしょう。
焦ってやみくもに勉強を始めても学習効果が半減してしまうので、受験勉強を始める前にはある程度志望校を絞り、求められる学力はどの分野か、どの程度かといった情報を調べてから取りかかっていきましょう。
医学部といえば、一般的には理系科目が重要視されるため、文系出身で理系科目に自信がないと悩む人も多いことと思います。
もちろん理系科目ができるに越したことはありませんが、文系だからこそ活かせる得意科目にも注目して学力を伸ばしていくことがポイントです。
文系出身者の中には英語が得意な人も多いので、医学部で英語の配点を高くしている大学を選んで戦略的に取り組んでいる人もいます。
自分にとって得意な科目は何かを見極めた上で集中的に学習し、強みにしていきましょう。
文系出身者にとって医学部受験では数学と理科が難関で、中でも数学IIIは理系出身者でも苦手意識を持つ人がいるほどです。
苦手教科の克服を目指すのも方法の1つですが、あまり得意でない教科を学習し続けるには強いモチベーションが必要になってきます。そのため、自分にとってより効率的に学習できる方法は何かを考えて、あえて試験科目に含まれる理系科目が少ない医学部を選ぶのも文系出身の方にとってメリットのある戦略だと言えます。
数学IIIが出題範囲に含まれていない医学部もあるので、自分の学力や得意科目に応じて適した大学を見つけてみてください。
以下のページでは医学部受験における理科の選択について詳しくまとめています。
当たり前のようなことですが、これから医学部合格に向け長い道のりとなる受験勉強を乗り切るためには、学習環境を整えることが大切な要素です。
自宅をメインに勉強を進めていく場合は、必要のないものが目に入らないように部屋を片付けましょう。
自宅以外に勉強に集中できる場所を複数持つことも、気分を切り替えながら勉強を継続できるのでおすすめです。例えば、図書館、カフェ、予備校の自習室などは気軽に利用でき、周りに人がいることで程よい緊張感があるのも学習に効果的です。うるさすぎる場所は集中できませんが、多少の雑音がある中でも勉強できる力を身につけることで、実際の試験で集中する練習にもなります。
また、勉強の合間の気分転換や体調管理も大切です。スポーツができる環境や健康的な食事、睡眠にも気を配り、長い受験勉強を乗り越えられる環境づくりをしていきましょう。
医学部受験は独学で再受験することも可能ですが、自分で着実に学習を推し進めていく自己管理能力が大切になってきます。独学の場合、マイペースに学習を進められるのはメリットですが、スケジューリングが難しかったり、質問があるときにすぐに聞ける環境がなかったりというデメリットもあるため、効率的に合格を目指していくには医学部専門予備校に通うのがおすすめです。
自己管理が苦手という人でも、医学部専門予備校に通うことをルーティン化すれば自動的に集中して取り組めるようになるだけでなく、同じ志を持った人と切磋琢磨しながら合格を目指していけるので、モチベーション維持にもつながります。
多くの医学部専門予備校では、医学部受験に対する経験と知識が豊富な講師が生徒1人1人に合った学習方法やプランを提案してくれるので、自分で進めていくよりも最短ルートで合格を目指すことが可能です。
医学部専門予備校について詳しく知りたい場合はこちらのページも参考にしてください。
目指す志望校が定まったら、目標に沿って年間、月ごと、日ごとと大きな枠組みから小さな枠組みでスケジュールを立てていきましょう。
得意科目や強化したい科目によって時間配分は異なってきますが、それぞれの科目に適した勉強法を実践することが大切になってくるため、ここでは科目別の基本的な勉強法をご紹介していきます。
各科目の勉強を詳しく解説したページもありますので、そちらもぜひ活用して自身の学習に活かしてください。
ほとんどの医学部受験で必須科目となる数学は重要科目の1つです。数学でしっかり点数をとっていくための秘訣はとにかく基礎を固めることです。暗記するというよりも、公式や定理を自分の言葉で説明できるようになるまで理解を深めていきましょう。
数学とは反対に、生物の場合は知識量が重要になってくるため暗記力がキーになります。しかしながら、全ての範囲を網羅しようとするといくら時間があっても足りないばかりか、他の教科にかける時間もなくなってしまうので、まずは基礎を固めて、その後は重要度が高い箇所を学習していくようにしましょう。また、生物は暗記に加えて、考察力や論述力も必要です。問題が何を伝えようとしているのか考えながら読んだり、自分で図を書いたりしながら読み進めていくとよいでしょう。
物理は本質を理解することが求められる教科です。力学、電磁気、波動、熱力学、原子の5分野に分かれていますが、特に力学はその他の分野に関連するためほとんどの大学で出題されます。優先的に学習していきましょう。
教科書で学習した後は、問題集を活用してしっかり理解しているか確認するというサイクルを回していくことで、着実に力を付けることができます。
化学は、理論学、無機化学、有機化学の3分野で構成されており、それぞれ異なる分野の知識が必要となるため難易度が高いと感じる人も多い科目です。
化学でも公式や公理を覚える必要がありますが、単に丸暗記しただけでは問題を具体的にイメージするのが難しく、解答するのは困難です。問題を解きながら、なぜこうなるのかと考えながら進めていくことがポイントです。
ここでは、文系出身者が医学部大学を選ぶ時のコツと、おすすめの大学をご紹介します。
医学部受験の内容は大学によって様々で、対する受験者の得意分野や能力も人それぞれです。
そのため、一般的に受かりやすいと言われている大学が自分にとって受かりやすいとも限らないですし、逆に難関校が自分の得意分野とマッチしている場合もあります。
文系出身者が医学部を選ぶ際には、自分の得意分野を十分に活かせる受験体系になっている大学を探すことが合格への近道とも言えます。
ここでは、文系出身者が医学部を選ぶ際のコツとして注目すべきポイントをご紹介していきます。
大学によって教科ごとの配点方法は異なります。そのため、自分にとって有利になるように大学ごとの配点方法をチェックして、文系科目や自分の得意科目の配点が高い大学を選ぶことで受かる確率を高めることができます。
文系出身者の多くは物事を論理的に説明できるなど、コミュニケーション能力を強みとする人が多い傾向にあります。
理系の知識が必要とされる医療の分野でもコミュニケーション能力が重要であることは言うまでもなく、面接時にアピールできると有利です。そのため、試験に面接があるかどうかを確認し、自分の適性に応じてどちらがよいかを検討しましょう。
ただし、面接官から「文系なのになぜ医学部を志望したのか」などの質問に対して言葉が詰まってしまうようでは逆効果となるため、事前の面接対策をしっかり行うか、面接がどうしても苦手という場合は面接のない大学を選ぶのもスムーズに受験対策を進めていくコツです。
国立大か私立大どちらを選ぶのか、またはどちらも受験するのか迷う方も多いと思います。
国立大と私立大では受験内容は大きく異なるため、どちらが自分に合っているのか見極めて選ぶことが大切です。
国立大の場合は全ての科目において高い成績が求められるため、共通テストで9割以上と満点に近い点数を取らなければなりません。また、理系・文系出身者問わず、国立大は人気が高いため競争率も高くなります。
その一方で、私立大の場合は受験科目が絞られているため、受験科目に集中して対策をしていけば、国立大よりも比較的狙いやすいと言えるでしょう。
ただし、国公立よりも競争率が低いといっても、私立大でも年々競争率が高くなっているため決して簡単とは言えません。
国立大、私立大どちらの対策も進められる余裕がある場合や、一方に絞るのは不安という方はどちらも受験するのもありですが、最短で確実に医学部合格を目指す場合は、自分の得意分野に絞っていく方が効率的です。
ここでは、文系出身者におすすめの大学をご紹介します。
以下のデータは二次試験での配点で計算していますが、試験内容や最新の情報は異なる場合もありますので、詳しい情報は各大学の公式ホームページなどでご確認ください。
■共通テスト
国立大 | 滋賀医科大学(二次試験もあり) | 約16% |
島根大学(二次試験もあり) | 約14% |
■二次試験
私立大 | 順天堂大学 | 40% |
国際医療福祉大学 | 約36% | |
東邦大学 | 約37% | |
国立大 | 横浜一律大学(前期一般) | 30% |
滋賀医科大学(共通テストもあり) | 約33% | |
島根大学(共通テストもあり) | 約28% | |
和歌山県立医科大学(前期一般) | 25% | |
熊本大学(前期) | 25% | |
富山大学(後期) | 約29% | |
琉球大学(後期) | 30% |
■共通テスト
国立大 | 愛媛大学 | 約36% |
滋賀医科大学 | 約33% | |
島根大学 | 約28% | |
熊本大学 | 約25% |
■一次試験
私立大(国語で受験可能) | 帝京大学 | 約33% |
昭和大学 | 20%(数学か国語から1科目選択) |
私立大学 | 近畿大学 | 数学IIIなし |
帝京大学 | 数学IIIなし | |
東海大学 | 数学IIIなし | |
国立大学 | 弘前大学 | 数学IIIなし |
奈良県立医科大学(前期) | 理科1科目 | |
宮崎大学(後期) | 理科2科目なし |
私立大学医学部の中には共通テストを利用した入試を行っている大学があります。
医学部によっては難易度が高い独特の問題が出されるところも多くあり、しっかり対策ができていないと突破するのが難しい場合もありますが、共通テストであれば一般的な勉強に集中して学力を高めることで合格を目指すことができます。
どちらの形式が向いているかは人によって異なるので、自分にとって適した入試形態の大学を見つけましょう。