医学部受験に合格するには、筆記試験で良い成績を残すだけでなく、面接試験も突破しなければなりません。
多くの大学医学部では二次試験で面接を実施していますが、どのような対策を行っていけばよいのでしょうか。
医学部の面接は、その重要性を理解した上で対策を進める必要があり、一次試験が終わってから、面接対策を始めるのでは余裕がありません。
定番の質問などについてもお伝えするので早速面接対策を始めていきましょう。
目次
医学部受験では、とにかく筆記試験突破のために高い学力をつけることを重視している方が多いでしょう。
もちろん、それも大切なのですが、医学部入試では面接が必須となっているところが大半です。
面接は非常に大切なものなので、軽視してはいけません。
なぜ医学部の入試で面接が実施されているのか、その重要性についてお伝えします。
面接試験では、まずは志望の意志をしっかりと伝える必要があります。
医師という大きな目標に対する高い志があること、そのために志望先で学びたい意思を伝えることが重要です。
医師は命を預かる仕事であることを理解して、真摯に向き合っていることを面接官に伝えましょう。
これまでの経験や注目している医療関係のニュースなどから、自分の医師としての目標を明確に示すことが大切です。
そして、面接は筆記試験では測れない医師に必要なコミュニケーション能力、人間性などを見るものです。
医療の知識があり、テストの点がいいだけで医師は務まりません。
人とうまく向き合っていけるのか、自身の考えを他者に上手く伝えられるかが今後医師として働いていく上で必要になります。
医療の現場では、老若男女、それぞれ異なる状況の患者さんが存在し、患者さんごとに適切な対応ができるのか、その資質があるのかを面接官は見ているのです。
協調性、他者の意見を聞き入れる柔軟性、相手を思いやる気持ちなど、医者に必要とされる適性が備わっているのかを判断されます。
医学部入試の二次試験では、各大学で筆記試験、面接、小論文が課されることがほとんどです。
大学によって配点や採点方法は違うので、志望先の配点も調べておきましょう。
医学部の二次試験では、教科試験は英語、数学、理科の3教科が多いです。
そして面接は、それらの1教科の点数と同程度の配点のところ、半分以下のところ、配点が高いところ、など様々なパターンがあります。
志望先が面接をどれほど重視しているのかは、この配点で理解することができるでしょう。
大学によっては点数評価ではなく、段階評価(A、B、Cなど)をとっているところもあります。
こうした面接の評価の仕方や比重も、志望校を選ぶ上で大いに役立つのです。
面接試験は、様々な大学で行われていますが、医学部受験の面接にはどのような特徴があるのでしょうか。
問われる内容や、見られる点について具体的にお伝えします。
医学部入試の面接では、他の学部の面接と比べて、より専門的な内容を質問されることが多くあります。
ただ教科の試験点数を伸ばしているだけでは、合格に繋がらないのです。
現代社会に目を向けられているか、最新の医療分野への関心を持って、日々過ごしているのかが面接では問われます。
そして、自分の意見や理由を明快に伝えられなければなりません。
医療に関するニュースや課題など、専門家の意見を知った上で、自分なりに考えを深めましょう。
自分ならどう思うのか、どんなことを研究したいのかを、理由とともに述べられるよう、日ごろから問題意識を持つことが大切です。
正解のない問題も多くあるので、正しさに固執せず、自分なりの考えを伝えられるようにしましょう。
自分なりの意見を述べる中で、医師としての適性も測られるのが面接試験です。
人間としての倫理観、患者さんやその家族に対するホスピタリティ精神などが面接試験の会話の中で浮き彫りになります。
命に対する責任感を持っていることや患者さんに寄り添うことができることは、医師に求められる力です。
また、医療の現場は医師を中心に看護師やその他の医療スタッフがチームとなって行動します。
独断で進むのではなく、協調性やリーダーシップを発揮して仲間とチームプレイをしていく力も必要になってくるでしょう。
このような適性を持っているか否かを、面接でのやりとりや質問への回答の中で測られるのです。
医学部入試の面接試験で、よく聞かれる質問についてお伝えします。
よく聞かれる質問にはしっかりと答えられるように、あらかじめ内容を考えておくことがおすすめです。
その大学を志望する理由、医師を志す理由のどちらとも聞かれる可能性が高いので、筋道を立てて話せるようにするとよいでしょう。
志望のきっかけや動機を明らかにし、そこから医学のどのような分野を専門的に学ぼうと思ったのか、社会にどう貢献したいと思ったのかを述べる必要があります。
医学部志望のきっかけや動機などは他の医学部志望生と似たようなものになりがちですので、自分だけのエピソードをより具体的に説明できるようにするとよいでしょう。
志願理由は「志願理由書」の内容と相違ないよう、確認しておくことも必要です。
入学後の目標が志望している学校の教育方針、教育理念と一致していることを伝える必要があるので、志望先の情報をしっかりリサーチしておくと良いです。
志望先のHPやパンフレットに目を通すだけでなく、説明会やオープンキャンパスなどにも足を運んでおきましょう。
その確認のために、面接では理想の医師像について問われることが多いです。
現時点での希望の進路として、働き方(研究医、臨床医など)や志望する診療科(外科、内科、眼科、小児科など)なども決めておきましょう。
そして、その理由やどう社会に貢献していきたいのかを具体的な回答とともに述べると良いです。
さらに、理想の医師に近づくために志望先でどのような学びをしていきたいのかについても話せると、より熱意が伝えられます。
自分自身の長所と短所を聞かれることも多くありますが、単に自分の性格を伝えるだけではいけません。
面接が医師としての適性をアピールする場であることを理解し、医師に求められる適性と関連する内容を述べるとよいでしょう。
例えば、協調性、リーダーシップ、責任感、前向きな姿勢などです。
さらに、それに関するエピソードも添えると、自分自身をより強くアピールすることができます。
短所は誰にでもあるものです。
そのため、自分の短所を理解していること、それをどう補って改善していきたいと思っているのかをアピールすることが求められます。
基本的には今後よくしていきたいところを述べればよいですが、人間性や倫理観が疑われるようなことは避けましょう。
短所ではあるけれど、見方によっては長所とも取れるような点を述べるのが無難です。
学生時代の経験についても話せることがあるとよいでしょう。
部活、ボランティアを初めとした課外活動などを通して多様な経験をしていることで、多角的に物事が見られるようになります。
豊富な経験は医師として様々な人と関わる上で非常に重要です。
また、大会や資格試験などに取り組んだ経験なども、よい自己PRの材料となるでしょう。
面接対策は、まず自分の考えや理由を自分自身で整理するところから始め、考えがまとまったら、実際に話す練習をするとよいでしょう。
ここでは、具体的にどのような手順で面接対策を進めていくべきかをご紹介します。
まずは、面接でよく聞かれる5つの質問の答えを準備しましょう。
自分のこれまでの経験、人生などを振り返りながら、意見や理由をまとめます。
これは面接対策の準備ですが、同時に医師を目指すものとしての責任や意欲を改めて考える機会にもなり、今後の勉強へのモチベーションアップにもつながります。
さらに、志望校の過去の出題例をチェックして、それに対して自分ならどう答えるのかを考えておきましょう。
過去の出題例を見てみると、その学校がどんなことを重視しているのか、どんな学生を求めているのかを知ることもできます。
学校の分析と理解にもなるので、過去数年分の出題例の答えを準備してみてください。
医師を目指すものとして、最新の医療情報への関心は重要です。
医療の現状、課題などに関心を持って、自分が将来どのようなことに携わってきたいのかを考えておきましょう。
また、見聞きしたニュースに対して自分の考えを持ち、発信できるようになることが面接対策になります。
面接では医療に関するニュースについて問われることがありますが、何について聞かれるかはわかりません。
そのため、医療や福祉に対して、幅広い知識を得るように心がけましょう。
朝夕のニュースや新聞を見ること、移動中に医療に関する情報をチェックすることなどを習慣づけていくことがおすすめです。
自分のことや医療に関することについて、話したいことが整理できたら、実際に面接官役の人と一緒に面接練習をしてみましょう。
学校の先生、医学部予備校の先生などを頼り、模擬面接練習をすると、自分では気づけなかった課題が見えてくるはずです。
話す内容や話し方などについてアドバイスをもらい、緊張感のある環境でも自身の意見を言えるようにしましょう。
面接当日は緊張してしまうものです。
そんな状況でも、失敗せずにいつも通り話すためのコツを紹介します。
医師を目指す気持ちをしっかりとアピールできるように頑張っていきましょう。
面接では、緊張して声が小さくなったり、顔や姿勢が堅くなってしまったりしがちです。
いつも以上に声の大きさや話すスピードを意識して、相手にしっかりと伝わるように話しましょう。
将来、医師として働いていると老若男女、様々な患者さんを相手にすることになります。
面接で初めて会う面接官にも、堂々としっかり話すように心がけるとよいでしょう。
面接は、前向きな気持ちをアピールする絶好の機会です。
話す内容や医療に関する知識が不十分であったとしても、真摯に学び、考えている姿勢が伝われば、面接官の心を動かすことができます。
よい印象を与えるために、面接での話し方は非常に重要なのです。
面接では、予期せぬ質問をされることがあるかもしれません。
そういうときは焦らずに、ゆっくりと考えをまとめましょう。
慌てて即座に答えるよりも、筋道立てて意見と理由を伝えることの方が重要です。
また、わからない時には素直にそれを伝えましょう。
わかったふりをして見当違いの回答をしてしまうことの方がよくないので、わからないことがあったらそれを伝えるとともに、質問の意図を確認するようにしましょう。
面接に対して真摯に向き合い自分の気持ちを伝えることができれば、医師を目指すものとしての意志や意欲を感じ取ってもらえるはずです。