医学部受験では多くの方が共通テストにチャレンジされることでしょう。
ここで注意すべきは、共通テストでは、様々な科目に挑まなければならないということです。
得意な理系だけでなく、苦手な科目もしっかりと点数を取らなければなりません。
そこで必要となるのは、何を選択するのかということ。
今回は特に社会科目にポイントを定め、社会科の中でもどの科目が良いのか、また勉強するにはどんなポイントがあるのかなど、その利点と勉強法についてご紹介していきます。
目次
社会科目の中で、一番広いフィールドを覚える必要があるのが世界史となります。
医学部受験者が共通テストで選択するならば、世界史Bといった科目となる場合が多いことでしょう。
特に世界史では、歴史的な事象だけでなく、何故その事象が発生したのか、その背景についてもある程度把握しておく必要があります。
世界史に興味があるという場合ならそれほど苦手意識が生じるものではありませんが、覚える分野が広すぎることもあり、比較的長期的に勉強する必要のある科目といえます。
日本史も世界史と同様に、出題傾向としては暗記よりも、その背景や原因が出題されることが多い科目です。
これまでの日本史の出題傾向は、用語を問うというよりも、因果関係や社会背景を問うという傾向にあります。
こちらも日本史そのものに興味が深いという方には、比較的無理のない科目ですが、覚える範囲が広いこともあり、短期的に勉強するよりも時間をかけ、流れを覚える方が良いでしょう。
医学部受験者にも少し難解な分野の多い地理は、例年平均点の高い科目です。
その理由は医学部受験者の選択数が少ないところも影響しているのだとか。
だからこそ、ある程度の高得点を狙いやすい科目ともいえる地理は、単に用語を覚えるだけでなく、原因やその派生する効果なども併せて理解すると覚えやすい科目です。
現代社会はいわゆる教科書レベルの基礎的な知識はもちろん、そこに時事問題を照らして出題される傾向があります。
とくに医学部受験者には、近年の時事と照らして学習する方が良いでしょう。
比較的、多フィールドに渡る出題傾向があるため、出題の範囲を絞れず、また記憶や暗記に頼れない部分も多々あるため、敬遠する受験生も多いのですが、選択者が少ない分、確実に高得点を狙いやすい科目ともいえます。
倫理科目では、基礎的なベースを中心に出題される傾向があります。
ただし、暗記というよりも、なぜそのような状況に至るのか、背景や原因を含めて理解する必要があり、読解力や理解度が深まるまでは難解な科目でもあります。
出題傾向は比較的変化の少ない科目ですが、医学部受験者にはあまり選択者の少ない科目となっているようです。
用語の意味や背景など、身につくまでは把握することが多い政治経済科目ですが、その他の世界史や日本史と比べると、その出題されるフィールドはそれほど広くはないため、一度覚えれば短期間で高得点を狙いやすい科目です。
医学部受験者がこの科目を選択するならば、ある程度高い点数を目標にして対策を組むと良いでしょう。
共通テストで社会科目の何を選択するか、この点に関して選択時のポイントがあります。
まず、ご自身の得意なことはなにか、これを把握することです。
例えば、原因や背景などその事象を取り巻く部分に興味を持つと一気に覚える等、自分がどんな点に注目して学んでいるのかを知る必要があります。
とくに日本史や世界史は、出題の傾向でも、事象の起きた背景に着目するケースが多いため、用語を記憶する際にも、ほかにどんな人間が介在しているのか、またその際の社会状況はどうであったのかについても理解を深めると良いでしょう。
地理に関しても、単なる用語の暗記に留まることなく、派生するキーワードを組み合わせると良いでしょう。
こうして組み合わせることで、出題内容から何を求めているのか、何を問おうとしているのか、底が見えるようになります。
社会科目は、こうしたつながりを求める科目とも言えるのです。
出題の傾向として、事件の起きた背景、その社会的な状況というものが問われる場合が多いので、単に何年に何が起きたのかというだけに留まらず、なぜ発生したのか、その時の社会や政治は、また法的な状況がどのような背景にあったのか、理解しておけば全体の流れがみえるでしょう。
倫理科目は、例年を通して平均点が高いようですが、基本的事項を把握しておくことで、平均を上回ることも可能です。
これは倫理科目のみならず、どの社会科目においてもいえるようですが、まずは基礎を正しく把握することが重要といえそうです。
医学部受験者にとって、社会科目は比較的苦手意識を持つという方も多い科目でもあります。
得意な理系と違い、学習の手法も、また学び方も少し違う科目でもあるため、避けてきたという場合も多いことでしょう。
しかも、基本となる科目となる英語や数学、理科などの科目と同時に学習する必要があるため、中には基本となる科目から逃げるように社会科目に挑むという方もいるかもしれません。
ここが注意すべきポイントでもあります。
基本となる科目は、医学部受験には欠かせない科目です。
それは受験者自身が一番よく分かっていることでしょう。
しかし、模試の点数が思うようにいかなかった、最近、理系の学習に飽きてきたなどの理由から、社会科目などに逃げて学習するのでは、どちらも中途半端になってしまい、どちらもしっかりと学ぶことができません。
よりよい学習方法としては、まずは優先順位をつけて学習することです。
今、一番点数を高くすべき科目は何か、心の不安となっている分野は何か、それをしっかりと把握し、そこに誠心誠意向き合ってみましょう。
何か心の不安がある点を残して別のことをしても、きっと心の中にその不安が残ったままでは集中できていないことでしょう。
そのような状態が続けば、どんな学習をしても身につくものではありません。
しっかりと優先順位をつけ、今何に取り組むべきか、見極めることは全ての学習能力向上にもつながるのです。
おすすめの社会科目は、倫理や政治経済といえます。
その理由は、選択者が少ないことが挙げられます。
選ぶ人が少ない分、みな同じような点数となり、平均点も高くなっているようです。
つまり王道ともいえるような部分さえしっかりと把握しておけば、倫理も政治経済もそれほど点数で不安に感じることはないということです。
倫理や政治経済は、比較的社会科目の中で単純と表現される科目です。
覚える部分が決まっており、用語とその仕組みを覚えておけば、他の用語ともつながりが明確で把握しやすい特徴があります。
ですから、例えば社会科目以外で少し力を入れなければならない課題が残っているという方には、負担軽減のために社会科目の倫理、政治経済をおすすめします。
暗記があまり得意ではないと感じている医学部受験者には、地理がおすすめです。
それは、地理の科目には暗記で成立するような出題がほとんどないからです。
単語や用語を暗記しても、それがどんな効果を生みだし、どんなところにつながるのか、そして派生する効果は何かなど、つながりを求められるのが地理です。
しかも、地理は短期間で集中して学べるような科目ではありません。
例えば、社会を見れば刻々と移り変わり、それに伴い災害が多発して変化しているように、地理に出題される内容は時事問題に照らして変化していくものばかりです。
つまり基本となるところを把握して、そこがどう変化していくものなのか、そこに探求心を刺激されるようになれば地理はすんなりと理解しやすくなるもの。
この点、暗記で進める勉強法よりも、そうでは無い方に地理はおすすめといえるのです。
社会科目の特徴を様々ご紹介しましたが、どれにしようか、決めかねている医学部受験者には、なにより好きな科目を選んでいただくことが一番です。
好きというのは、好奇心がうごいているということです。
例えば医学部受験者となり、医学部を志した際にも、どこかに好奇心が動き、働いてその道を志そうと決意したように、人は心が動くことで様々な良い効果を生み出すものです。
幼い頃から振り返ってみて、小学校の社会科の授業でどの科目が楽しかったとか、親や周囲の人の影響で興味を持って自由研究の材料にしたとか、そんな小さな思い出の紐解きでも良いのです。
なにか、気になった社会科目があれば、それを選んでみてはいかがでしょう。
例えば、幼い頃にもらった歴史漫画の記憶があるなら、それをきっかけに社会科目を世界史や日本史にしてみる。
そこで、漫画にあったシーンを改めて学んでみるとか、自由研究で自分の生まれ故郷の風土を研究したのなら、その特徴を捉え地理を学んでみるとか。
好きなこと、興味を抱いたところをきっかけに選択してみると、興味が動くことがあります。
興味が動くことは、知らず知らずのうちに学びにつながることもあります。
無理に詰め込むように勉強せずとも、時間をかけずすんなり覚えられる可能性も高くなるかもしれません。
共通テストを受けるとなれば、専門分野だけでなく幅広い勉強が求められ、その分の負担も増えるものです。
そこで重要なのは、どこにどれだけの比重をかけ、無理のないペースで満遍なく力を発揮する環境を整えられるのかということ。
社会科目を選ぶ際には、不必要に自分に負担をかけるような科目を選ばず、平均点をどのように上回るかを検討する方が良いでしょう。
社会科目の学習は、単に受験対策だけでなく、その後の生活でも大いに役立つもの。
無理のない勉強法を選べる科目を選びましょう。