大阪で医学部を目指す受験生にとって、大阪公立大学は選択肢のひとつです。
大阪府内唯一の公立医学部であり、地元枠や人物重視の選抜など、多様な受験機会が設けられていることが特徴です。
本記事では、受験前に知っておきたい戦略と科目別の対策ポイントを詳しく紹介。関西圏の医学部志望者必見の内容です。
目次
2022年に大阪市立大学と大阪府立大学が統合して誕生した「大阪公立大学」。
医学部は旧・大阪市立大学医学部の伝統を受け継いでおり、関西圏でもトップクラスの人気と実力を誇ります。
入学後は、1年次から幅広い教養科目と医学基礎に触れるカリキュラムが組まれており、早期から医療の現場を意識した学習が可能です。
また、研究活動にも力を入れており、基礎医学や臨床医学における先進的な取り組みにも触れられる機会があります。
大阪公立大学医学部の基本情報を詳しく解説します。
阿倍野キャンパス(医学科)
〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1丁目4番3号
大阪公立大学医学部では、地元・大阪を中心とした病院への就職が多く、地域医療に根差したキャリアを築く卒業生が多数います。
医師国家試験の合格率も全国平均を上回る水準で安定しており、卒業生の実力の高さを裏付けているといえるでしょう。
医師国家試験合格後、2年間の初期臨床研修を受けることが義務付けられています。
多くの卒業生は、大阪公立大学医学部附属病院や、大学と連携している大阪府内を中心とした多数の関連病院・協力病院で研修を行います。
大阪公立大学は独自の研修プログラムを提供しており、多様な症例を経験できる環境です。
後期研修以降は、自身の希望する専門分野を選択し、専門医資格の取得を目指して数年間(通常3〜5年程度)の専門研修プログラムに進みます。
大阪公立大学には多くの診療科があるため、興味のある分野で専門研修プログラムを受講しましょう。
引き続き大学病院や関連病院で研修を続ける場合が多いですが、他の大学病院や専門病院で研修を受ける人もいます。
専門医資格を取得した後は、専門分野の医師として、大学病院や地域の基幹病院などで勤務。
なお、臨床経験を積みながら、あるいは初期研修後すぐに大学院(医学研究科)に進学し、基礎医学や臨床医学の研究者を目指すこともできます。
大阪公立大学にも大学院医学研究科が設置されており、博士号を取得し、大学教員として活躍中です。
大阪公立大学医学部医学科では、以下の3つの入試制度が設けられています。
各選抜方法には、それぞれ特有の評価基準や選考プロセスがあり、受験生の多様な背景や能力を評価する体制が整えられています。
大学入学共通テストに加え、個別学力検査(筆記試験)と面接が行われます。
筆記試験では、英語・数学・理科の3科目が出題され、記述式問題を含むため、論理的思考力や表現力が求められる傾向です。
面接では、医師としての適性や志望動機、コミュニケーション能力などが評価され、合否に大きく影響します。
※二次試験(筆記・面接)に関する詳しい情報は別の見出しで解説していますので、そちらをご覧ください。
項目 | 詳細 |
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募集人員 | 10名 |
対象者 | ・大阪府内の高等学校を卒業見込みの者 ・志願者または保護者が大阪府内在住の者 ※いずれも高校からの推薦が必要。 |
特徴と選抜の流れ | ・志願者数が募集人員の2倍を超えた場合、第1次選考を実施(出願書類100点 + 共通テスト825点) ・ 第1次選考通過者のみ小論文と面接を受験。 ・志願者数が2倍以内であれば、全員が小論文・面接を受験可能。 |
評価項目 | ・共通テスト ・小論文 ・面接 ・出願書類(調査書、推薦書、志望理由書、活動報告書) ※共通テストで指定科目1科目でも未受験の場合は選考対象外。 |
学校推薦型選抜では、学力だけでなく、志望動機や人間性、地域医療への貢献意欲などが重視されます。
項目 | 詳細 |
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募集人員 | 5名 |
対象者 | 人物重視の傾向が強く、学力と同時に意欲・適性を多面的に評価される選抜方法です。 |
特徴と選抜の流れ | ・志願者数が募集人員の3倍を超えた場合、第1次選考を実施(出願書類100点 + 共通テスト825点) ・第1次選考通過者のみ口述試験(面接含む)を受験 ・志願者数が3倍以内であれば、全員が口述試験、面接を受験可能。 |
評価項目 | ・共通テスト ・口述試験と面接 ・出願書類(調査書、志願者評価書、活動報告書、自己PR書) ※共通テストで指定科目1科目でも未受験の場合は選考対象外。 |
学力に加えて、医師としての適性や意欲、課外活動の実績など、多面的な評価が行われます。
大阪公立大学医学部は、関西圏の医学部の中でも高い難易度を誇り、特に共通テストと二次試験の両方で高得点が求められます。
共通テストのボーダーは、目安として約86%程度、すなわち900点満点中で650点が求められます。
二次試験対策も重要ですが、共通テストの形式にも慣れ、確実に点数を取れるような対策も必要です。
大手予備校サイトを見ると、医学部医学科の偏差値は67.5〜70.0の範囲で推移しています。
国公立大学医学部の中でも高い水準に位置し、特に関西圏では、京都大学、阪大、神戸大学に次ぐ難易度です。
また、全国の医学部82校中で13位にランクインしており、全国的に見ても上位の大学であるといえます 。
大阪公立大学医学部の一般選抜に関する入試情報をまとめました。
大阪公立大学医学部の共通テストでは下記の科目の受験が必要で、スコアを675点に圧縮して評価します。
教科 | 配点 | 特記事項 |
---|---|---|
英語 | 100点(R:75/L:25) | リスニング含む |
数学 | 200点(数ⅠA・ⅡBC) | 2科目必須 |
国語 | 100点 | 現古漢すべて出題 |
理科 | 200点 | 2科目選択(物理/科学/生物/地学) |
地歴・公民 | 50点 | 1科目選択(倫政・現社など) |
情報Ⅰ | 25点 | 2025年から必須 |
理科と数学の配点が高く、理系科目の比重が大きいのが特徴です。
配点:900点(共通テスト675点と合わせて1,575点)
科目 | 配点 |
---|---|
数学 | 300点 |
理科 | 2科目合計300点 |
英語 | 300点 |
記述・論述力が重視されるため、標準〜やや難レベルの問題を正確に処理できる力が求められます。
医学部としては標準的な構成ですが、「時間内に答案を仕上げる力」と「減点を抑える精密さ」が鍵となるでしょう。
大阪公立大学医学部の一般選抜では、学力試験だけでなく「面接」も合否を左右する重要な要素です。
配点は公開されていませんが、受験生1人に対して約4人の面接官がつくという情報があります。
オーソドックスな質問が多く、志望動機や得意・不得意科目、目指す医師像が聞かれる傾向です。
評価項目としては以下のような内容が挙げられます。
なお、面接の対策については以下の記事も参考にしてください。
二次試験は、数学・英語・理科の3科目。
記述式中心の出題であり、論理的な思考や表現力が求められる傾向です。
ここでは、医学部の過去問分析をもとに、各科目の特徴や注意点を紹介します。
大阪公立大学医学部の数学では、標準からやや難易度の高い問題が出題され、特に記述式での論理的な解答力が求められます。
問題は誘導形式が多く、解答への道筋を明確に示すことが重要です。
微積分や確率、ベクトル、数列などの分野が頻出であり、各分野の典型問題を繰り返し練習することで対応力を養えます。
また、計算ミスを防ぐための丁寧な計算と、途中式を明確に記述する習慣を身につけることが、減点を避ける鍵となります。
過去問を活用し、時間配分や答案構成の練習を重ねることが合格への近道です。
英語の試験では、長文読解と英作文が中心となり、社会科学系と自然科学系に関するテーマが取り上げられることがあります。
長文読解では、文章の構造を把握し、筆者の主張や論理展開を正確に理解する力が求められる傾向です。
英作文では、和文英訳が出題されることが多く、適切な語彙の選択と表現する能力が試されます。
日頃から英字新聞や医療系の記事を読むことで、専門的な語彙や表現に慣れるとともに、論理的な文章構成の練習を積むことが効果的です。
化学では、理論、無機、有機の各分野からバランスよく出題され、特に実験考察やデータ解析を含む問題が多く見られます。
問題文中のグラフや表、実験結果を正確に読み取り、論理的に考察する力が欠かせません。
また、化学反応の原理や計算問題も頻出であり、基本的な概念の理解と計算力が必要です。
過去問を活用して、さまざまなタイプの問題に対応できる柔軟な思考力を養うことが重要です。
物理の試験では、力学と電磁気から1題ずつ、波動または熱力学から1題出題されます。
問題は、図やグラフを用いた説明や、現象の背景にある物理法則の理解を問うものが多く、単なる公式の暗記では対応が難しいです。
基礎的な概念の理解を深め、問題の意図を正確に読み取る力を養うことが重要です。
また、記述式の問題では、論理的な説明と計算の正確さが求められるため、日頃から丁寧な答案作成の練習を心がけましょう。
生物では、遺伝や細胞、生理学などの幅広い分野から出題される年が多く、実験考察や資料分析を含む問題が特徴です。
問題文中の図表やデータを正確に解釈し、設問の意図を把握する力が求められます。
また、論述問題では、自分の考えを論理的に展開し、専門用語を適切に用いて表現する能力が必要です。
過去問や類似問題を通じて、さまざまなタイプの問題に対応できる柔軟な思考力と表現力を養ってください。
大阪公立大学医学部医学科では、多様な入試方式が用意されており、それぞれに明確な評価軸があります。
面接や書類審査を重視する入試も多いため、早期からの準備が合格へのカギとなります。
医学部を目指す方にとっては、筆記試験だけでなく人物評価にも対応できる対策が必要です。
トータル的に対策を行なって合格を目指すには、実績ある医学部予備校の活用がおすすめです。