医学部志望理由書の書き方|合格者に必要なコツとポイント

公開日:2025.05.29 更新日:2025.05.29

医学部の志望理由書は、合否を左右する重要な書類です。

しかし、「医師を目指す理由」や「なぜその大学を選ぶのか」を自分の言葉でまとめるのは、多くの受験生にとって難しい課題です。

特に、限られた文字数の中で自分の思いや体験をどのように伝えればよいのか悩む方も多いでしょう。

本記事では、医学部合格を目指す高校生・浪人生に向けて、志望理由書作成のコツやポイントを具体例とともに解説します。

医学部の志望理由書とは?目的と評価ポイントを理解しよう

志望理由書が求められる場面や、評価されるポイントを具体的に解説していきます。

医学部を受験する際に必要となる「志望理由書」は、単なる自己PR文ではなく、あなたが医師を目指す理由や将来の展望、そして大学との相性を伝える重要なツール。

評価される志望理由書を作成するための参考にしてください。

志望理由書が求められる場面

医学部の志望理由書は、推薦入試(学校推薦型選抜)や総合型選抜といった、学力試験以外の評価が重視される選抜方式で多く求められます。

学力だけでなく人間性・目的意識・医師としての適性が重視される試験ため、志望理由書の役割は非常に大きくなります。

また、志望理由書は願書提出のための書類にとどまらず、面接や小論文での質疑内容の根拠資料としても使用されます。
内容に一貫性がないと面接での受け答えに矛盾が生じるため、自分の考えを正確に表現し、根拠を持って説明できるようにしましょう。

地域枠入試や医療特別プログラムを設けている大学では、地域医療に対する貢献意欲や、特定の分野への関心(例:救急医療、離島医療など)についても問われる傾向です。

自分の将来像と地域のニーズがどうマッチするかを具体的に述べることが求められる点も特徴です。


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志望理由書が必要な大学・選抜方式

志望理由書は、全国の多くの国公私立医学部で、出願時に必須書類として課されています。

大学によって提出形式や文字数指定が異なるため、志望校の募集要項とアドミッションポリシーを事前に必ず確認しましょう。

以下は、一例ですが、年度によって変更される可能性もあるため、詳細情報が学校公式サイトを確認してください。

大学名 選抜方式 志望理由書の概要 文字数・様式
京都府立医科大学 学校推薦型選抜 大学志望理由 600字程度(大学指定様式、手書きのみ)
大阪公立大学医学部 総合型選抜 ・総合選抜試験で求められる人物像かのアピール
・関心を持っている分野に対してどのように携わっていきたいか
400・800字程度(自由記述形式)
近畿大学医学部 地域枠 将来の地域医療貢献への意欲や大学への理解を含めて記述 800字程度(大学指定様式)
関西医科大学 推薦入試・総合型選抜 学校志望理由 500字程度(所定のフォーマットあり)

学校推薦型選抜・総合型選抜・地域枠選抜では、志望理由書の内容が選考結果に直結するケースも多く、志望動機に加えて、地域医療や大学独自のカリキュラムに対する理解も評価の対象となります。

書式は、400〜800字程度の文字数制限が一般的ですが、中にはA4用紙2枚分の詳細な記述を求める大学も存在します。
文字数に合わせて簡潔かつ論理的にまとめる力が重要です。

選考側が見ているポイント

選考側が志望理由書で重視するのは、医師を志望する強い動機や熱意です。
単なる憧れや受動的な理由ではなく、具体的な経験やエピソードに基づいた主体的な志望動機が求められます。

たとえば、「病気の家族を支えたいと思った経験」「ボランティア活動で命の重みを実感した体験」「地方医療の現場を見て課題を感じたこと」など、自分だけのエピソードがあると、より説得力が高まります。

また、将来どのような医師になりたいかという明確なビジョンや、大学で何を学びたいか、どのように成長したいかという意欲も重要な評価ポイントです。

志望校の教育理念や特徴的な取り組み(例:地域医療教育、早期実習、チーム医療など)と自分の考えが合致しているかが評価されるため、志望校ごとに内容をしっかり調整する必要があります。

文章そのものの論理性・構成力・表現力も選考基準のひとつ。
読み手に伝わりやすい構成(導入・理由・展開・結論)で、一貫したトーンで書かれているかどうかが問われます。
自分の言葉で書いているか、無理に背伸びした内容ではないかも重視されるポイントです。

コピペやテンプレートの多用は避け、自分の価値観に根ざした文章を心がけましょう。

合格者に共通する「医学部志望理由」の3つのポイント

医学部合格者に共通して見られる「医学部志望理由」の書き方の特徴を、重要な3つの視点に分けて解説します。

これから志望理由書を書く方は、ぜひ参考にしてみてください。

医学を志す動機

医学部合格者の多くは、医師を志す明確な動機や原体験を持っています。

例えば、幼少期に大きな病気やケガを経験し、担当医から受けた温かい対応や励ましに感銘を受けたことがきっかけとなるケースが多く見られます。

家族や身近な人が医療従事者であったり、家族の病気や介護を通じて医療の現場に触れたりした経験が、医師を目指す決意へとつながるケースも少なくありません。

医療ドラマや書籍、ボランティア活動などを通じて医療の重要性ややりがいを実感し、命や健康に携わる仕事への強い憧れを抱く場合もあるでしょう。

志望理由書で大切なのは単なる憧れや漠然とした思いではなく、「なぜ医師になりたいのか」という自分なりのきっかけや決意を具体的なエピソードとともに示すことです。

受験大学の志望理由

合格者は、受験する大学を選んだ理由についても明確に述べています。

単に「有名だから」「偏差値が高いから」といった理由ではなく、大学の教育方針やカリキュラム、研究環境、実習体制などの特色と自身の目標や興味がどのように結びつくのかを具体的に説明しています。

例えば、地域医療や国際医療、特定分野の研究に力を入れている大学を志望する場合は、共感した理由や目指す医師像と教育理念との関連性を述べています。

また、オープンキャンパスや説明会で感じた雰囲気や、教授・先輩との交流を通じて得た印象など、実際の体験を交えて説得力を高めている点も特徴です。


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将来のビジョン

合格者は、将来なりたい医師像を具体的に描いており、志望理由書で分かりやすく伝えています。
「将来どのような医師になりたいか」を言語化することで、選考側に熱意・適性・医師としての使命感を伝えられます。

例えば、「患者一人ひとりに寄り添う医師になりたい」「地域医療の発展に貢献したい」など、社会貢献への具体的な姿勢を示している人が多く見られます。

加えて、「この大学でどのような力を身につけたいのか」という学習意欲や将来設計まで踏み込んで書くことで、説得力が増します。

こうした将来像を示すことで、受験生の熱意や適性、医師としての使命感が伝わりやすくなるでしょう。

医学部志望理由書の基本構成と書き方のコツ

医学部志望理由書を書く際に押さえておきたい「構成の流れ」と「表現のコツ」について解説します。

医学部受験では、限られた文字数の中で自分の熱意や適性を伝える必要があるため、論理的かつ読みやすい文章を意識することが非常に重要です。

おすすめの構成

医学部志望理由書は「導入→きっかけ→大学選びの理由→将来像→締めくくり」という流れで構成すると、読み手に分かりやすく、論理的な印象を与えられます。

  1. 導入:冒頭で結論である「医師を目指す理由や自分の思い」を簡潔に提示
  2. きっかけ(原体験):病気や医療との関わり、ボランティア経験など、医師を志すようになった出来事を具体的に記述
  3. 大学を選んだ理由:大学独自のカリキュラム、研究領域、地域医療への取り組みなどに共感した点を自分の将来像と絡めて述べる
  4. 将来像:どのような医師になりたいか、どの分野で貢献したいかを明確に描く
  5. 締めくくり;大学で学びたい意欲や医師としての使命感を改めて表明しまとめとする

このように一貫した構成でまとめることで、説得力のある志望理由書が完成します。

文章量の目安と書き出しパターン

志望理由書の文章量は大学や選抜方式によって異なりますが、一般的には400~800字程度が目安です。
短い場合は200字以内でまとめる必要があることもあります。

書き出しのパターンとしては、以下にように結論や動機を最初に述べる方法がおすすめです。

  • 「私が医師を志した理由は、○○という経験があったからです。」
  • 「幼少期に□□を体験したことが、医療の道を目指すきっかけとなりました。」
  • 「人の命に関わる仕事に就きたいという思いから、医師という職業に強く惹かれました。」

冒頭で結論や志望動機を端的に述べるを明確に書くことで、読み手の興味を引きつけられます。

なお、文字数が限られている場合は無駄な表現を省き、要点を簡潔にまとめることを意識しましょう。

読みやすさ・論理性を意識する方法

読みやすく論理的な志望理由書を作成するためには、段落構成・一文の長さ・文体の整合性に注意することが重要です。
以下の点を意識すると、伝わりやすく、評価されやすい文章になります。

項目 具体的な内容 意識すべきポイント
段落分け 1段落につき1テーマを設定し、話題ごとに段落を分ける 各段落は300字前後を目安に、構成を明確に
一文を短くする 一文が長くなりすぎないように、句読点で区切る 主語と述語の関係が明確になるように構成する
具体性を持たせる 抽象表現を避け、「いつ・どこで・どのように」を明確に 実体験に基づいた具体例で説得力を高める
表現の平易さ 難解な専門用語や冗長表現を避け、わかりやすい文章にする 中学生にも伝わる平易な言葉を選ぶ

完成後は必ず誤字脱字のチェックを行いましょう。
可能であれば先生や予備校講師など第三者に読んでもらい、客観的なフィードバックを受けてください

自分では気づかない構成のズレや言い回しの不自然さを修正でき、仕上がりの精度が向上します。

やってはいけないNG志望理由例と理由

志望理由書を書く際にやってはいけないことを事前に押さえておくと、余分な減点を避けられます。
ここではやってはいけないNG志望理由例と理由について解説します。

抽象的すぎる動機

医学部志望理由書で「人の役に立ちたい」「医師は素晴らしい職業だと思う」といった抽象的な表現だけで動機をまとめてしまうのはNGです。

多くの受験生が使いがちで、読み手に「本当に医師を目指す強い意志があるのか」「自分の経験や考えが反映されているのか」と疑問を持たれてしまいます。

選考側は受験生が医師を志す理由や背景・きっかけ、具体的なエピソードを通じて本気度や適性を見極めたいと考えています。

抽象的な動機だけでは他の受験生との差別化ができず説得力や印象に欠けてしまうため、必ず自分自身の経験や具体的な出来事を交えて理由を述べるようにしましょう。

「親が医者だから」だけの動機

「親が医者だから自分も医師になりたい」という理由だけを志望理由書に書くのも避けましょう。

確かに家庭環境が医師志望のきっかけになることは珍しくありませんが、他の理由も伝えないと自身の主体性や熱意が伝わりません。

親の影響を受けたことを否定する必要はありません。
ただし、「自分はどのような医師になりたいのか」「親の姿を見てどんな価値観や考え方を持つようになったのか」といった、自分自身の視点や決意を加えることが重要です。

親の職業をきっかけにしつつも、そこから自分なりに考えた将来像や具体的な目標を示すことで、選考側に本気度や個性をアピールできます。

他大学にも使い回せる内容

どの大学にも当てはまるような一般的な志望理由は、選考側に熱意や本気度が伝わりにくいためNGです。

例えば「貴学の充実したカリキュラムで学びたい」「早期臨床実習に魅力を感じた」といった内容は、多くの大学で導入されているため、どこでも通用する表現になってしまいます。

大学ごとにアドミッションポリシーや教育方針、特色は異なります。

そのため、志望理由書では大学ならではの強みや、自分の将来像とどのようにマッチするのかを具体的に述べることが重要です。

オープンキャンパスや説明会で得た印象、教授陣の研究内容、自分が参加した地域医療プログラムとの関係など、実体験に基づく要素を盛り込むことで説得力が大きく向上するはずです。

最終確認を怠る

志望理由書の最終確認を怠ることも、大きなNGポイントです。

誤字脱字や文法ミス、論理の飛躍があると、内容が良くても評価が下がってしまいます。
特に医学部入試は「就職試験」とも言われるほど厳しく、提出書類の完成度も重要な評価基準となります。

また、大学の指定した書式や字数を守っていなかったりする場合も減点対象となります。
形式面の確認も必須です。提出前には、文法・構成だけでなく、形式・文字数・書式なども細かくチェックしましょう。

そのため、提出前には必ず第三者に内容をチェックしてもらい、自分では気づきにくいミスやわかりにくい表現を修正しましょう。

【例文付き】志望理由書のモデルケース

志望理由書にはオリジナリティが求められますが、モデルケースを事前に知っておくとしっかりと相手に伝わる志望理由書が書きやすくなります。

現役生・浪人生それぞれに適した志望理由書のモデルケースをご紹介します。

現役生向けの例文

現役高校生が医学部を志望する場合は、医師を目指す原体験や将来のビジョンを軸に展開する構成が有効です。
学校生活や家族との体験など、日常の中から得た気づきを自分の言葉で具体的に表現することが大切です。

【例文】
私は幼い頃、家族が病気で入院した際に医師の方々が親身になって対応してくださったことに感動し、医師という職業に強い憧れを抱くようになりました。
その経験を通じて「自分も将来、人の命や健康を支える存在になりたい」と強く思うようになり、特に患者さんやその家族に安心感を与えられる医師を目指したいと考えています。
そして、貴学の医学部は早期から臨床実習やチーム医療を重視した教育を実施しており、ここで学ぶことで臨床医として必要な知識や技術を素早く身に付けられると考えています。
将来は地域医療にも貢献し、幅広い患者さんに寄り添える医師を目指して努力していきたいです。

浪人生向けの例文

浪人生の場合は、過去の受験経験や浪人期間中に得た学び・気づきを志望動機と関連づけて表現する構成が効果的です。
失敗や挫折を前向きに捉え、自分なりに成長したことを示すと説得力が増します。

【例文】
私は昨年の受験で医学部合格を果たせず悔しい思いをしましたが、その経験を通じて医師になりたいという気持ちがより一層強くなりました。
浪人生活の中で、医療現場のボランティア活動や最新の医療技術について自主的に学ぶ機会を持ち、医師として求められる知識やコミュニケーション能力の重要性を実感していました。
そして、貴学の医学部の基礎医学から臨床医学まで体系的に学べるカリキュラムや、研究活動にも力を入れている点に大きな魅力を感じています。
貴学での学習を通じて、患者さん一人ひとりに寄り添いながら地域医療や高度医療にも貢献できる医師になっていきたいです。

書く前に準備しておきたい3つのステップ

以下の3つのステップを押さえておくことで、選考者の心に響く志望理由書を書き上げられます。
内容に説得力と具体性を持った医学部の志望理由書を作成する際には事前の準備が欠かないため、ぜひ実践してみてください。

自己分析

志望理由書を書く前には、自己分析を徹底して行いましょう。

自分が医師を志したきっかけや経験、価値観、興味関心などを振り返り、紙に書き出してみるのがおすすめです。

例えば、家族や自分の病気の経験、ボランティア活動、学校生活で感じたことなど、人生の中で印象に残っている出来事を具体的に挙げてみましょう。

書き出した中から「なぜ医師を目指すのか」「どんな医師になりたいのか」といった自分の思いを言語化することで、他の受験生と差別化できるオリジナルの志望理由が見えてきます。

自己分析を通して自分の強みや将来のビジョンも明確にしておくと、説得力のある志望理由書が書けるようになります。

大学研究

志望する大学について詳しく調べておくことも重要です。

大学ごとに力を入れている分野や教育方針は異なるため、「なぜこの大学でなければならないのか」を明確にできる材料を集めておくことが大切です。

各大学の公式サイトやパンフレット、オープンキャンパス、説明会などを活用して、以下をリサーチしてください。

  • 教育理念
  • アドミッションポリシー
  • 医学部の特色
  • カリキュラム
  • 研究分野
  • 実習体制

卒業生の進路や医療現場との連携、地域医療への取り組みなども調べ、自分の将来像や目標と大学の特色がどのように合致するかを考えてみましょう。

リサーチした情報を踏まえて記述すると、単なる憧れではない「具体的な志望理由」として伝えることができ、選考者に強い印象を残せるでしょう。

書いた後の推敲チェックリスト

志望理由書を書き終えたら、必ず推敲を行いましょう。
推敲時には、以下を確認してください。

  1. 誤字脱字や文法ミスがないか
  2. 論理的な流れの文章か、段落ごとのテーマが明確か、結論が冒頭と締めくくりにしっかり書かれているか
  3. 自己分析や大学研究で得た内容が具体的に盛り込まれているか、抽象的な表現や使い回しになっていないか
  4. 大学の指定した字数や書式を守れているか

最後に第三者に読んでもらい、分かりやすさや説得力について客観的な意見をもらうと、より完成度の高い志望理由書に仕上げられるでしょう。

本気度が伝わる志望理由書で差をつけよう

本気度が伝わる医学部志望理由書を作成するには、型(構成やポイント)をしっかり押さえたうえで、自分の言葉で具体的に書くことが大切です。

志望理由書はなぜ医師を目指すのか、なぜその大学を選んだのか、どんな医師になりたいのかという、「自分だけのストーリー」を根拠や体験とともに伝えることで、他の受験生と差をつけられます。

また、自分一人で仕上げるのが難しい場合は、医学部予備校のサポートを活用するのも有効です。

医学部受験に精通した講師やスタッフが、志望理由書の作成から添削までしっかりサポートしてくれます。
客観的なアドバイスを受けながら、説得力のある志望理由書を仕上げられるでしょう。

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